明るい災害の話をしよう。vol.1 きっかけ食堂〈後編〉

 

 

白川
そういえば、今回の特集のコンセプトが「災害との向き合い方」なんだよね。向き合い方ってすごいざっくりだと思うんだけど、とりあえずこのまま投げてみようかな(笑)

 

奥田
丸投げ(笑)……あ、逆に、烈さんのなかであったりします?

 

 

白川
投げ返された(笑)
そうだなあ、災害との向き合い方って、やっぱり怖さを煽ったりとか、苦しい体験からの教訓が多いんだよね。そういう経験をされた人たちの教えはもちろん身にしなきゃいけないとは思うんだけど、そういうのばっかりじゃあ、ちょっと窮屈だよね。

 

奥田
そうですね。実際、私がきっかけ食堂に出会う前に感じていたのは、そんな空気感でした。

 

白川
いわゆるピリピリとした話も大事だけど、取っつきやすいような話や、明るい話もあっていいと思う。窮屈だと、しんどくなっちゃうもんね。実際に、振り絞って前を向いてやっている人もいる。

 

奥田
はい。じつは「きっかけ食堂」は、そもそも災害の話をしなくていい場なんですよ。
白川
そうなんだ?

 

奥田
はい。「東日本大震災のことを話さなくてもいい場所」というのが、テーマでもあるんです。東北に行ったことない人たちでも、置いてけぼりにならないように、話題もなんでもいい。就活の話でも、最近あったことでも、ほんとになんでも。

 

白川
じゃあ、みんなふつうにご飯を食べに来る。

 

奥田
そうなんです。
大切なのは、災害の話をすることではなく、「共通の話題がなくても、同じものを食べることで、同じ感情になれる」ことだと思うんです。

 

白川
それ、おもしろい!「共有」だね。

 

奥田
そうです!同じ食卓につく食堂だから、できることなんです。

 

白川
ただ同じご飯を食べることが、同じ食卓につくことじゃないもんね。それ、すごい良い仕組みだなあ。

 

奥田
そうやって共有することで、たまたまぽろっと出た災害の話や思っていることも、伝えたりとかじゃなく共有する雰囲気になるんですよ。「伝える」と「共有する」じゃ、受け容れ方が違います。

 

白川
たしかに。キャッチボールだと、Qに対してAが返ってくるけど、共有だと「いっしょに悩もう」になるね。

 

 

奥田
もしかすると、それが私の、「きっかけ食堂」の、災害に対する向き合い方かもしれません。いっしょに考えよう、という向き合い方。

 

白川
「いっしょに」ってところが肝だね。ひとりじゃできない。

 

奥田
もちろん、簡単ではないですけど。伝えたい想いは、関われば関わるほど大きくなっていくので…

 

白川
そこがむずかしいよね。
伝えたい想いが10あるとしても、きっかけ食堂では0の場にしないといけない。

 

 

奥田
じつは、悩んだ部分でもあります。東北に興味がない人は、災害の情報とか話されても面倒だろうし…でもやっぱり伝えたいことはたくさんあって。その葛藤の繰り返しでした。

 

白川
そのすき間は、どうやって埋まったの?

 

奥田
そもそもを考えると、きっかけ食堂に来てくれただけで支援になってるんですよ。生産者の方から買った東北の食材を使っているわけですから。そのことに気付いてから、私の伝えたい想いではなく、「その人にとってどういう関わり方がベストなのかな?」って一緒に考えるようになりました。

 

白川
「伝える」から、「共有」に変わった瞬間だ。

 

奥田
「伝える」を聞く側からすると、災害の話ってどこか重苦しいんです。

 

白川
うん。ちょっと身構えちゃう。
それが自然とできたり、明るいままできるのは、きっかけ食堂ならではなのかもね。

 

奥田
烈さんよかったら、ぜひ今度遊びにきてください。ぜひ肌で感じてみてほしいなあ。

 

白川
うん、行こう。おれ、東北のサンマ大好きなんだ(笑)

 

奥田
サンマ以外も美味しいので、安心してください(笑)

 

 

 

災害の話をしなくてもいい、災害支援を行なう「きっかけ食堂」さん。
同じ食卓につくからこそ、ひとりでじゃなく、みんなで一緒に考えることができる。

そんな「きっかけ食堂」さんは、毎月11日に、京都・東京・名古屋・仙台で開催されています。
お近くの方はぜひ、美味しい東北のご飯を食べに行ってはいかがでしょう?(もしかすると、白川もひっそりいるかもしれません)

 

 

(文・構成:白川 烈 写真:小林舞花)

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