2020.03.29

BCP(事業継続計画)を福祉施設で策定すべき理由とポイント

written by admin

災害大国と呼ばれる日本は、いつどんなときに、どのような災害が起きても不思議ではありません。

個人や企業ですでに防災対策は実施されているところは多いですが、近年ではただ命や財産を守るだけでなく、企業の事業そのものを守るBCP(事業継続計画)を策定することも重視されるようになりました。

BCPは企業が策定すべきもの、というイメージがありますが、事業を継続させるという意味では福祉施設でもBCPは非常に重要な計画となります。

ここでは、BCPとは何かに加えて、福祉施設だからこそBCPを策定すべき理由、さらに福祉施設におけるBCPの策定ポイントについて解説します。
福祉施設でこれからBCPの策定を検討している人も、ぜひ参考にしてください。

福祉施設も策定すべきBCP(事業継続計画)について

まずBCPについて見ておきましょう。
BCPとは“Business Continuity Plan”を指し、日本語では事業継続計画を指します。

何らかの要因で企業の事業を停止せざるを得ない場合でも、事業を継続させる、または停止せざるを得ないときでもできるだけ早い復旧を目指すために策定しておく計画が「BCP」です。

BCPは災害を含めて事故や感染症、サイバー攻撃など事業の停止をする要因すべてを含めて、事業を停止しないように計画を策定します。

元々BCPは、アメリカなどで起きた9.11世界同時多発テロがきっかけで広まったといわれています。
欧米諸国の企業がテロ攻撃に対しても事業を継続させるためにあらかじめ計画を策定しておくケースが多くなったのです。

日本は当時テロ攻撃に対して危機感を持つ企業はほぼなかったため、BCPは広がりませんでしたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、企業の防災以外の災害対策として、BCPの重要性が広がりました。

災害大国である日本は、特に災害が原因で事業の停止に追い込まれる企業も多くあります。
そのため、今まで災害に対しての行動のみの防災対策だけでは太刀打ちできないため、災害に強い企業としてBCPの策定が求められるようになったのです。

BCPは、一般企業ではなく福祉施設にとっても重要な要素と言えます。
福祉施設における事業とは、高齢者や障がい者などの施設利用者に対する福祉サービスの提供が該当します。

特に、福祉施設の利用者は災害時に自らで行動するのが難しい場合が多いため、福祉施設が災害によって事業を停止してしまうと、十分な支援が受けられない「災害弱者」となる可能性が高いのです。

福祉施設も災害などが原因で事業を停止せざるをえない可能性は十分にあるため、社会福祉の観点からも、BCPを策定しておくべきと言えるでしょう。

福祉施設がBCP(事業継続計画)を策定すべき3つの理由

福祉施設がBCP(事業継続計画)を策定すべき3つの理由は以下の通りです。

  • 利用者に平常時と同じく安定的に福祉サービスを提供するため
  • 利用者と職員の安全確保のため(防災と同等)
  • 福祉施設としての社会的責任

利用者に平常時と同じく安定的に福祉サービスを提供するため

福祉施設の利用者は、高齢者や障がい者などが該当します。
さらに、福祉施設では身体的な介助だけでなく、利用者の心に寄り添う精神的なケアを提供しているところも多いでしょう。

災害時、福祉施設利用者は災害弱者になりやすい立場であるだけでなく、気持ちが不安定になることもあります。
また、利用者だけでなく利用者の家族にとっては、福祉施設の存在は大きいでしょう。

そんななかでも福祉施設が平常時と同じように事業を継続していれば、利用者や家族に対して災害時に安定的なサービス提供ができ、肉体的にも精神的にも安定もはかれるのです。

社会福祉の観点からも、福祉施設がBCPを策定しておく重要度は高いと言えるでしょう。

利用者と職員の安全確保のため(防災と同等)

災害発生時、適切な行動をすることで利用者と職員の命や財産も守れます。
防災と同じく、BCPは事前に策定することで利用者と職員の安全確保の目的も持っているのです。

特に、福祉施設は自力避難が困難な利用者も多いため、防災と同じ観点からもBCP策定が不可欠と言えるでしょう。

福祉施設としての社会的責任

最後に、福祉施設は地域や同業種との連携が事業のうえで大切な要素となります。

BCPを策定しておくことで地域支援の輪を途切れないようにする、という福祉施設としての社会的責任も果たせるのです。

福祉施設がBCP(事業継続計画)で取り入れる4つのポイント

実際に福祉施設がBCP(事業継続計画)の策定を乗り出そうとしても、まずは何から決めればいいか分からない、という場合も多いです。
福祉施設でBCPを策定するとき、取り入れておくべき4つのポイントを解説します。

  • 最優先事業の決定と起こりうる要因の考察
  • 経営資源を補填するための取り組み
  • 意思決定とその情報伝達の取り組み
  • 被害を事前に最小限にするための取り組み

最優先事業の決定と起こりうる要因の考察

福祉施設と一言に言っても、施設によって展開している事業は異なります。

大まかに分類すると、利用者が施設に入所して生活介助サービスを行う施設入所型サービス、デイサービスなど利用者が施設に通って利用する通所型サービス、介護士などが利用者の自宅や病院などに訪問してサービスを提供する訪問型サービスなどに分かれているのです。

まずはBCPの策定を検討している福祉施設で展開している事業がなにかを整理し、停止を防ぐ最優先事業を決定します。
複数の事業を展開している場合は、第一優先となる事業を決めましょう。

次に事業を停止に追い込む要因はさまざまありますので、事業によって起きる可能性の高い要因を考え、それに対するBCP策定へ進むことになります。

福祉施設の場合は、災害と感染症が事業を停止する可能性の高い要因ですが、施設のある場所によって起きる可能性の高い災害の種類は異なってきます。
たとえば、活断層のある地域なら地震、氾濫する危険性の高い川の近くなら豪雨などの風水害などが該当します。

さらに、福祉施設で展開している事業が、居住型の場合密閉された空間で多くの人が生活するため、感染症パンデミックが広がりやすい、などの可能性もあります。

施設のある場所や、展開している事業に合わせて何の要因が起こりやすいかを考え、まず一番発生可能性が高い要因へのBCPを策定するようにしましょう。

経営資源を補填するための取り組み

福祉施設がBCPを策定するうえで、ほとんどの福祉施設が災害の発生を想定して策定します。

災害時は、災害発生による人や建物に対する物理的な被害のほかのも、ライフラインや物流の停止により人員や物資が不足することになります。

事業を継続させるには、人員や物資の補填が不可欠です。
この不足する物資や人員を、どのように補填するかの具体的な方法を考えて、BCPに盛り込むことになります。

あらかじめ必要な物資を備蓄しておく、ほかの事業所から応援を要請する、被災していない事業所を使うなど代替できる手段にきりかえる、などの具体的な方法を考え、計画に入れましょう。

意思決定とその情報伝達の取り組み

BCPでは事業の継続のほか、防災対策と同じく利用者や職員の命や財産を守る目的も含まれています。

利用者や職員の安全確保のためには、災害発生時にただちに命を守るための行動をしなければいけません。
災害対策本部の設置や、館内放送と緊急地震速報を連動させるなど、避難誘導などの適切な指示を出す体制を整えておきます。

また、災害時は正しい情報を手に入れるのも命を守る行動につながります。
特に、停電などでライフラインが使えない場合、テレビから情報が得られないため、安定的に情報を手に入れられる防災ラジオの活用や、国や自治体が発信する災害に関するSNSなどから情報を手に入れなければいけません。

正しい情報を手に入れるように、インターネット回線や防災ラジオなどのツールの確認を行っておきましょう。

さらに、出勤前の職員や到着前の利用者など、施設の外にいる場合の安否確認も重要です。
職員や利用者に災害時に一斉配信できる自動メールや、クラウドの連絡ツールなどを導入し、スムーズな安否確認ができる体制を整えるのも重要です。

被害を事前に最小限にするための取り組み

最後に、災害や感染症などが実際に発生するまえに、被害を最小限に食い止めるための事前の対策や方法を検討しておくのもBCPの領域に含まれます。

建物は免震構造になっているか、倒れやすい棚や設備などは固定されているかなど地震に対する対策のほか、風水害被害が起きやすい建物なら強化ガラスやシャッターは導入されているか、災害発生時に迅速に避難できる避難経路は確保できているかも確認します。

感染症については、感染症が疑われる職員や利用者がいる場合には施設への出勤や利用を停止して医療機関の受診を徹底する、入居型施設の場合は来客に対してマスクや消毒用アルコールの利用を徹底させて外部からの感染を防ぐ、などの取り組みが該当します。

いざ災害や感染症が発生した場合に、事業を停止しないように取り組むための計画がBCPですが、事前に要因が発生しないため、被害を最小限度に食い止めるための防災や減災に通じる取り組みも含まれているのです。

福祉施設でBCP(事業継続計画)策定を始めよう

少子高齢化を受けて、今後も福祉施設の利用者は高齢者を始め増加することが見込まれています。
さらに、福祉施設で働く職員の人材不足にも悩まされているため、限られた人材と資源で、災害発生時は事業を停止しないための取り組みを行わなければいけません。

災害はいつ起きるか分かりませんので、事前に取り組みを行っておくのが重要です。
災害時でも限られた人材や資源で事業を継続していくために、福祉施設でもBCPを策定して、職員や利用者の命を守ったり、社会的な責任を果たす行動につなげたりしましょう。

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