最終更新日:2023/03/02 (公開日:2018/09/07)
長野県における自然災害の種類と対策ポイント
地震、津波、台風、土砂災害…。「災害大国」ともいわれる日本列島では、いつどこで災害に遭遇してもおかしくありません。
災害への備えは、地域ごとの地理的特徴と社会特性を知り、災害の種類ごとにどんな影響がおきるのかを正確に把握するところからスタートします。
ここでは、長野県における地震・津波災害、風水害、土砂災害の特徴を整理し、それぞれの災害についての対策のポイントを紹介します。
目次
長野県で想定される地震・津波災害
地震災害には、陸域の浅いところで活断層が活動することにより発生する直下型の地震と、海域のプレートが跳ね上がって発生する海溝型の地震とがあります。
直下型地震
長野県の主要な活断層は、県内をほぼ南北に縦断するように糸魚川−静岡構造線断層帯が延びており、諏訪湖付近では伊那谷断層帯が並走しています。諏訪湖付近から南西方向には、境峠・神谷断層帯とその延長上に木曽山脈西縁断層帯が、県北東部には十日町断層帯、長野盆地西縁断層帯(信濃川断層帯)があります。
長野県は多くの断層が走っていることから、震源域の浅い震災がこれまでにも多く起きていることが特徴です。今回は、主な活断層を3つ紹介します。
●長野盆地西縁断層帯
長野盆地西縁断層帯は、長野県の飯山市北方から長野市南方にかけて、長野盆地の西縁に向けて延びています。全体として長さは58kmと予想されています。死者数は2200人〜2400人、全壊・焼失建物数は約30000棟〜約41000棟が予想されています。長野市に、特に大きな被害が集中して発生することが考えられます。
●糸魚川-静岡構造線断層帯
全長140km 〜150kmの活断層帯。北は長野県小谷村付近から南は山梨県南アルプス市付近に達し、北部、中部、南部の3つの断層帯から成り立っています。死者数は5600人〜7100人とかなり大きい死者数が予想されています。長野県全土に震度6強以上というかなり大きい揺れが想定されています。
長野県における海溝型地震
長野県の海溝型地震で推測されているのは、南海トラフです。震源地から距離があるため、比較的大きな被害は予想されていませんが、南部の方で被害が考えられています。
地震の被害予測
直下型地震と海溝型地震の被害予測です。直下型地震がはるかに上回る被害が予測されていることが分かります。また、孤立集落も多く発生すると予測されています。
台風などの風水害・土砂災害
長野県は山が多い地理的特徴から、土砂災害が多く発生しています。過去には雨が上がった後に斜面崩壊したこともあります。2015年(平成27年)9月の豪雨では、長野市広瀬地区において斜面崩壊が発生し、広瀬神社の拝殿が被災しました。豪雨のピークは9月10日の午後7時から8時頃でしたが、崩壊発生時刻は11時過ぎで、ほとんど無降雨だったといわれています。
この災害では、約10か月前に発生した長野県北部の地震(神城断層地震)の震動による地盤の緩みなどの影響があった可能性がありますが、崩壊のメカニズムについては不明な点が多く、事前に崩壊が発生する時刻、発生に至る降雨量等を予測することは不可能だったと考えられます。
豪雨のピークを過ぎても、しばらくのあいだは避難を続ける、斜面に近寄らないなどの注意が必要であること、特に地震後において斜面崩壊が発生しやすくなっていることへの注意が必要であることが判ります。
長野県における火山災害
長野県は多くの火山が活動しており、2019年8月7日には浅間山で小規模な噴火がありました。火山災害では、火山灰が発生することが考えられるので、「火山灰を吸い込まない」「コンタクトレンズを外す」「皮膚を守る」「運転を控える」といった対策を直ちに取りましょう。
長野県が行っている防災の取り組み事例
長野県ではいくつか防災対策を発信する取り組みを行なっており、「河川砂防情報ステ−ション」では大雨や土砂災害情報をいち早くお知らせしています。「信州暮らしのマップ」では、災害被害想定だけでなく、自分達が暮らす上での知るべき情報がマップ状になって統合されています。自分の住む地域の情報をしっかりチェックするようにしましょう。
長野県における防災対策のポイント
①地震への備え
地震は突然発生し、破壊力が非常に大きいため、何をおいても命を守るための対策をたてておくようにしましょう。代表的なのは揺れを抑える対策です。自治体によって耐震診断などに助成金を出している場合もあるので、問い合わせてみて積極的に活用しましょう。
- 耐震補強:壁や屋根、天井、照明器具など
- 家具や家電製品の固定、棚の中身の飛び出し対策、ガラス飛散防止対策
また、大規模な地震の場合はどんなに備えていても必ず被害が発生すると覚悟して、長期間の被災生活を想定した備えをしておくことも重要です。
- 停電対策:バッテリーや蓄電器、簡易発電機などの準備
- 断水対策:飲水や生活用水の確保
- 下水対策:下水道損傷に備えた簡易トイレの確保
- 備蓄対策:食料、生活必需品の備蓄
- 避難対策:大規模火災時の避難場所、避難方法の確認、非常持出品の整理
②風水害への備え
風水害の場合は、気象庁からあらかじめ予報が出されるため、できるだけ早く正確な情報をつかんで、災害が発生する前に避難できるようにすることがもっとも重要なポイントとなります。 ふだんから気象関係のアプリやホームページにアクセスして、どんな情報がどこにあるか、どのくらいの状態になったら避難などの対応が必要かなど、気象情報を正しく読み取れるようになっておきましょう。
③土砂災害への備え
土砂災害は前触れなく発生します。大雨で地盤が緩んでいるときに起きやすいですが、はっきりとした兆候がみつけにくいことも多いため、崩れることに気づいてからでは助かりません。 土砂災害の場合は、土地の危険性についてあらかじめ知っておくことがもっとも重要なポイントになります。 土砂災害の危険性については、自治体が発表している土砂災害危険度情報(土砂災害ハザードマップなど)が参考になります。ホームページで公開されていますので、あらかじめ確認しておきましょう。 また、大雨のときには、気象庁と都道府県から土砂災害警戒情報や土砂災害に関する避難情報も発表されますので、該当する地域にいる場合はできるだけ早く避難してください。
まとめ
災害はいつどこで発生するかわかりませんが、むやみやたらと恐れて根拠のない都市伝説に引っかからないようにしましょう。 一人ひとりが災害に対する正しい知識を身につけ、「きちんと怖がる」ことが、災害と向き合う第一歩です。 「まさか自分が」とならないよう、良質な情報を集め、できることから備える行動を起こしましょう。