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最終更新日:2023/07/12 (公開日:2018/09/02)

【福岡県】自然災害の種類と対策ポイント

地震、津波、台風、土砂災害…。「災害大国」ともいわれる日本列島では、いつどこで災害に遭遇してもおかしくありません。

災害への備えは、地域ごとの地理的特徴社会特性を知り、災害の種類ごとにどんな影響がおきるのかを正確に把握するところからスタートします。

ここでは、福岡県における地震・津波災害、風水害、土砂災害の特徴を整理し、それぞれの災害についての対策のポイントを紹介します。

福岡県で想定される地震・津波災害

地震災害には、陸域の浅いところで活断層が活動することにより発生する直下型の地震と、海域のプレートが跳ね上がって発生する海溝型の地震とがあります。

福岡県に影響する直下型地震と海溝型地震について、発生のしやすさと起こりうる被害想定についてみていきましょう。

直下型地震

福岡県における直下型地震では、福岡市を縦断するようにのびている警固断層帯が、今後30年以内に発生する確率が高く、また都市部の直下に位置するため、もっとも影響の大きい地震とされています。

そのほかにも、福岡県内には、福知山断層帯西山断層帯小倉東断層帯など、多くの断層帯があり、県内のいつどこで地震がきてもおかしくありません。

震度分布(揺れやすさ)

<警固断層帯地震の場合の揺れやすさ>

福岡県でもっとも大きな影響をあたえる警固断層帯地震の揺れやすさを表す震度分布図は以下のとおりです。

福岡市など市街地で最大震度6強、県内のかなりの部分が震度5弱以上の強い揺れに見舞われると想定されています。

<基盤を一定にした場合の県内全体の揺れやすさ>

下の図は、警固断層帯だけでなく、他の断層帯の地震もあわせて一定の基盤で県内全体での揺れやすさを想定した震度分布図です。

現実には県内全体が一度に揺れるわけではありませんが、マグニチュード6.9クラスで深さ10kmの地震が起きると、県内のどこでも震度5弱以上、最大で震度6強の揺れが発生することがわかります。

液状化

大きな揺れにより地盤が液状化を起こすと、水道管やガス管などの地中のパイプが破損する被害が発生します。

下の図は、福岡県内の基盤を一定にし、県内での液状化の起こりやすさを表した液状化危険度分布図です。沿岸の広い範囲で危険度が高くなっています。

建物倒壊、地震火災被害

直下型の地震は比較的浅いところで発生するため、マグニチュードは小さめでも大きな揺れになり、建物倒壊などの危険も大きくなります。

警固断層帯地震では、福岡市などを中心に全壊する木造建物が1万6000棟以上になると想定されています。また、崩れた建物から出火し、広範囲で大規模な火災が起きると予測されています。

人的被害

建物の倒壊や火災、斜面崩壊などにより、おおぜいの死者や負傷者が発生します。

警固断層帯地震では、福岡市を中心に、死者数が1200人近く、負傷者が2万2000人以上発生すると予測されています。

また、被災により食料が不足するのは全県で約57万人給水を要するのは約25万世帯避難所での生活を余儀なくされる人は約4万人にのぼるとされています。

インフラ被害

大きな揺れにより、地中に埋められた管渠が損傷し、上下水道、電力、通信、都市ガスなどのインフラ施設にも大きな被害が発生します。

また、高速道路などの道路被害、鉄道被害、港などの公共施設の被害も想定され、移動手段にも支障が出ます。

市民生活への影響がもっとも大きくなるのは警固断層帯断層の地震で、以下のような大規模なライフライン停止が予測されています。

  • 停電など:10.2万世帯
  • 情報通信:約4.8万世帯
  • 食料・飲料水:約68万世帯に影響
  • 医療:約980施設(県下の施設の約4割に相当)

その他、エレベーター停止による閉じ込め被害が発生し、帰宅困難者は市街地を中心に県内全体で約45万人発生する可能性があります。

海溝型地震

福岡県には玄界灘、備前豊後、有明海と3つの沿岸がありますが、海溝型地震としては、西日本の太平洋側一帯で発生する確率が高いとされる南海トラフ地震がもっとも大きな影響を与える地震となります。

津波の高さ、到達時間

海溝型の地震でもっとも顕著となるのは津波による被害です。

福岡県において津波の高さがもっとも大きいのは西山断層を波源とする地震で、最速1分で津波が到達し、最高で4.6mの高さになるとされています。

津波はものすごい量の海水が壁のようになり、桁違いの圧力であらゆるものを一気に飲み込んで、まきこまれたガレキと一緒になってすべてを押し流します。2mの津波で木造家屋は完全に破壊されてしまうといわれています。

津波による人的被害、建物被害

福岡県の津波被害は、南海トラフ地震がもっとも多いと予測されています。

人的被害では、沿岸部を中心に55人程度の死者が発生し、建物被害では、約6100棟が全半壊すると予測されています。

なお、人的被害については、津波の到達までの時間を活用し避難をしっかりと行えば、被害は抑えられると考えられます。

福岡県における台風/豪雨などによる風水害

福岡県で気をつけなければならない災害は、地震だけではありません。

過去には、台風や大雨による風水害も、大規模な被害が発生しています。

台風被害

台風は、7月から9月を中心に接近したり上陸したりするものが多く、福岡県は毎年2~3回は台風の襲来に見舞われます。

台風が来ると、暴風や浸水、高潮や高波などで大きな被害が発生する場合があります。過去には次のような大型台風による被害がありました。

  • 1945年 枕崎台風:死者・行方不明者87人
  • 1991年 台風17号、19号:死者・行方不明者14人、負傷者765人、家屋全半壊約4500棟
  • 1999年 台風18号:大規模な高波による被害発生

集中豪雨、大雨被害

福岡県における大雨は、梅雨前線によるものが多くなっています。筑後地方から筑豊地方の山沿いにかけて暖かい湿った南西気流が流れ込み、大雨が降りやすくなっています。近年だけでも、次のような大雨災害が次々と発生しています。

  • 平成21年7月中国・九州北部豪雨(2009年):死者36人、全半壊150棟以上
  • 平成24年7月九州北部豪雨(2012年):死者・行方不明者33人、全半壊2500棟以上
  • 平成29年7月九州北部豪雨と台風3号による大雨と暴風(2017年):死者・行方不明者43人、全半壊1400棟以上

福岡県における地震などによる土砂災害

毎年発生する自然災害の中で、死者や行方不明者が発生する割合がもっとも高いのは、実は土砂災害です。

阪神・淡路大震災と東日本大震災の特異ケースを除けば、自然災害による死者・行方不明者のうち4割を土砂災害が占めています。

土砂災害は、がけ崩れ土石流地すべりの順に発生しやすくなっています。

福岡県でも、多くの土砂災害が発生し、甚大な被害が起きています。

  • 北九州地方:門司大災害(1953年)
  • 福岡地方:早良災害(1963年)、宝満・三郡山系災害(1973年)、四王寺・三郡山系災害(2003年)
  • 筑後地方:県南部土砂災害(1990年)
  • 福岡・筑豊・北九州地方:平成21年7月中国・九州北部豪雨(2009年)
  • 筑後・筑豊地方:平成24年7月九州豪雨(2012年)

福岡県における防災対策のポイント

①地震・津波への備え

地震・津波は突然発生し、破壊力が非常に大きいため、何をおいても命を守るための対策をたてておくようにしましょう。代表的なのは揺れを抑える対策です。自治体によって耐震診断などに助成金を出している場合もあるので、問い合わせてみて積極的に活用しましょう。

  • 耐震補強:壁や屋根、天井、照明器具など
  • 家具や家電製品の固定、棚の中身の飛び出し対策ガラス飛散防止対策

また、大規模な地震の場合はどんなに備えていても必ず被害が発生すると覚悟して、長期間の被災生活を想定した備えをしておくことも重要です。

  • 停電対策:バッテリーや蓄電器、簡易発電機などの準備
  • 断水対策:飲水や生活用水の確保
  • 下水対策:下水道損傷に備えた簡易トイレの確保
  • 備蓄対策:食料、生活必需品の備蓄
  • 避難対策:津波や大規模火災時の避難場所、避難方法の確認、非常持出品の整理

②台風など風水害への備え

風水害の場合は、気象庁からあらかじめ予報が出されるため、できるだけ早く正確な情報をつかんで、災害が発生する前に避難できるようにすることがもっとも重要なポイントとなります。

ふだんから気象関係のアプリやホームページにアクセスして、どんな情報がどこにあるか、どのくらいの状態になったら避難などの対応が必要かなど、気象情報を正しく読み取れるようになっておきましょう。

③土砂災害への備え

土砂災害は前触れなく発生します。大雨で地盤が緩んでいるときに起きやすいですが、はっきりとした兆候がみつけにくいことも多いため、崩れることに気づいてからでは助かりません

土砂災害の場合は、土地の危険性についてあらかじめ知っておくことがもっとも重要なポイントになります。

土砂災害の危険性については、自治体が発表している土砂災害危険度情報土砂災害ハザードマップなど)が参考になります。ホームページで公開されていますので、あらかじめ確認しておきましょう。

また、大雨のときには、気象庁と都道府県から土砂災害警戒情報土砂災害に関する避難情報も発表されますので、該当する地域にいる場合はできるだけ早く避難してください。

まとめ

災害はいつどこで発生するかわかりませんが、むやみやたらと恐れて根拠のない都市伝説に引っかからないようにしましょう。

一人ひとりが災害に対する正しい知識を身につけ、「きちんと怖がる」ことが、災害と向き合う第一歩です。

「まさか自分が」とならないよう、良質な情報を集め、できることから備える行動を起こしましょう。

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