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最終更新日:2022/09/03 (公開日:2019/05/06)

もう目の前に!防災の基本と災害への備えを今すぐ身につけるべき理由

巨大地震に大津波、スーパー台風や土砂災害…

災害大国と呼ばれる日本ではいつどんな災害に遭遇するかわかりません。

災害への備え、できていますか?

家庭や職場で後悔しないために、防災の基本的な考え方や今すぐ備えるべき防災のポイントを押さえておきましょう。

防災と備えは、災害の特性を知ることから始まる。パターン別災害への備え方

災害は、自然現象によって人々や社会に被害などの影響が生じる状態を指します。
影響がでないよう未然に防ごうとする備えを「防災」、どうしても防ぎきれない被害を少しでも減らそうとする対策を「減災」と呼ぶこともあります。

つまり、防災は、災害ごとの特性をよく知り、被害を防いだり減らしたりするための備えを考えていくことが基本となります。

ここでは、災害という状況を危機的状態のひとつとして捉えるリスクマネジメントの考え方を参考に「抑止」「軽減」の2つの考え方をみていきましょう。

防災は自然現象への備え。リスクマネジメント4つのプロセス

災害を外からくる驚異と捉えた場合、リスクマネジメントでは、危機的状況を乗り切る方法として次の4つのプロセスに区分し、対策を立てる考え方があります。

  • 回避:リスクが発生しないための防止対策や代替策を講じる
  • 軽減:リスクが発生した際の被害を拡大させない、分散させる対策を講じる
  • 転嫁:保険などにより、別の方法で損失を補てんする対策を講じる
  • 受容:リスクをあることを認めた上で対策をたてずに被害を受け入れる

上記の4つのプロセスを大別すると「回避」と「軽減」はリスクコントロールといって、被害の発生頻度と影響の大きさを抑える対策となります。

対して「転嫁」と「需要」はリスクファイナンシングといって、金銭的な補てんを行うことにより、リスクコントロールの効果を上げる対策と考えるとよいでしょう。

防災を考えるときは、まずは「回避」と「軽減」を軸に災害というリスクの発生頻度と影響拡大を押さえていくことが重要となります。

災害に遭っても被害を出さない「抑止」は防災の要諦

はじめに押さえておくべきなのはリスクの回避。
防災の世界で「抑止」と呼ばれる対策です。

災害に巻き込まれて命を失ってしまっては元も子もありません。
あたりまえのことに感じるかもしれませんが、そもそも被害に遭わないような状態にすることがいちばん大事なのです。

例えば、地震が起きて揺れても倒れたり壊れたりしないように補強する、洪水が発生しても浸水しないように高くするなど、被害が発生する頻度や影響をなくしていく備えです。

防ぎきれない被害を少しでも減らす「軽減」を合わせ技に

防災の基本は被害に遭わない抑止対策だとはいえ、大規模災害など必ず「想定外」の事態が発生します。
どんなに備えていても完全に被害を防ぎきれないことを想定し、被害の拡大を抑える対策が必要です。

このような、どうしても防ぎきれない被害を予測して影響を軽くする備え、防災の世界で「軽減」といわれる対策の軸となります。

例えば、停電用にバッテリーを揃え、すぐ切り替えられるように練習しておく、近くの避難所や安全なルートを確認し、避難方法を決めておく、3日程度の食料や水などの備蓄をしておくなど、影響を少しでも軽くする備えです。

大規模災害時にはどんな防災・備えが必要?災害の事象別 防災の基本

防災の2つの観点「抑止」と「軽減」を軸にした上で、災害ごとに具体的な備え方を考えていきましょう。
このとき、災害事象の特性にあわせた防災のポイントを押さえるのがコツです。

【地震・津波における防災】備えのポイントは「抑止」+「軽減」のバランス

地震は予告なく発生し、起きてからの対応では間にあいません。

このため、地震に関する防災の基本は、被害に遭わない抑止対策をしっかり立てた上で、被害の影響を最小限に抑える軽減対策をバランスよく組み合わせていきましょう。

地震・津波は威力が甚大なので、無防備だと命に関わります。
まず身を護るための抑止対策をしっかり立てましょう。

を守る抑止対策としては以下のようなものが挙げられます。

  • 壁や屋根、天井などの耐震補強(震度6強くらいまでは大丈夫なようにする)
  • 家具や家電製品の固定、棚の中身の飛び出し対策、ガラス飛散防止対策
  • 津波浸水予測地域に住んでいる場合は、できるだけ地域外へ引越し

大規模な場合、どんなに備えていても必ず被害が発生すると覚悟しておくことをすすめます。

被害軽減の対策としては以下のようなポイントに注意し、備えておきましょう。
大規模な場合は、復旧までに長い時間がかかるため、長期間の被災生活を想定した備えをしておくことも重要です。

  • 停電に備えた代替電力(バッテリーや簡易発電機など)の準備と操作練習
  • 断水に備えた水の確保
  • 下水道損傷に備えた簡易トイレの確保
  • 物流が長期停止する事態に備えた備蓄品(食料、生活必需品)の整備
  • 津波浸水や大規模延焼などによる家屋破壊時の避難場所、避難方法の点検、練習
  • 避難所での避難生活に備えたグッズの整備

特に大津波が発生している場合、津波襲来の可能性がある場所にいるときは何をおいても早く逃げてください。
津波はふつうの大波と違って壁のように迫り、数十センチでも倒されてしまう威力があります。
とにかく早く逃げることが、津波からの被害を減らすコツです。

【風水害における防災】備えのポイントはとにかく「先に逃げる」こと!

台風や集中豪雨などによる気象災害は地震と異なり、気象予報により現状把握や数日先までの予測が可能です。

このため、風水害に関する備えで最も重要なのは回避の行動といえます。
できるだけ早く正確な情報を捉え、起きうる災害を予測して、災害が発生する前に避けることが最も重要なポイントとなります。

気象庁のサイトには、下表のように様々な情報があります。
日頃から気象庁のサイトを利用して、どんな情報がどこにあるのか、気象情報を正しく読み取れるようになっておきましょう。

警報・注意報などの気象情報
  • 気象警報・注意報
  • 浸水害の危険度分布
  • 洪水の危険度分布
  • 気象情報
  • 海上警報
  • 台風情報
  • 指定河川洪水予報など
予報に関する情報
  • 天気予報
  • 天気分布予報
  • 時系列予報
  • 週間天気予報
  • 海上予報など
現在の状況図・シミュレーション
  • 天気図
  • 雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)
  • 今後の雨(降水短時間予報)
  • レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)
  • 気象衛星
  • アメダス
  • ウィンドプロファイラ(上空の風)

気象情報を把握し、洪水などの危険が身近に迫っている場合はできるだけ早く避難します。

あらかじめどこに避難するのがよいのか、どのルートで避難するとよいのか、何を持っていくのがよいかを整理しておき、天気が大きく崩れないうちに移動するようにしましょう。

特に、乳幼児や妊婦、お年寄りなど移動に時間がかかる人がいる場合は、早めに避難行動を始めることが重要です。
また、大雨や台風の通過が夜になる予報の場合は、日が暮れる前に避難するなど明るいうちに災害への備えをしておきましょう。

市町村から以下のような避難情報が出されます。避難の種類をよくみて早めの行動をとるようにしましょう。
避難情報は、テレビ放送のテロップなどで流れるほかスマートフォンに登録して通知がくるようにもできますので、知りたい地域を登録しておくと便利です。

避難準備・高齢者等避難開始 避難勧告などを今後発令することが予測され、準備が必要な状態となったとき 高齢者や乳幼児、障がいのある人など、避難に時間がかかる人と支援する人は避難を開始する。

その他の人は、避難の準備をする。

避難勧告 災害が発生し、人的被害の危険性が高まったとき すみやかに避難場所へ避難する。

避難場所への移動がかえって危険な状況のときは、近くの安全な場所へ避難する。

※この段階で、避難してしまうのが原則

避難指示(緊急) さらに状況が悪化し、命に危険が及ぶ可能性が非常に高まったとき まだ避難できていない人は緊急に避難場所へ避難する。

外出するとかえって危険な状況のときは、自宅の中の安全な場所(上の階や屋上など)へ避難する。

風水害への備えは、まだ天気が穏やかなうちに避難するのでちょうどよいのだ、空振りでも被害がなくてよかったのだという気持ちを忘れないでください。

【土砂災害における防災】備えのポイントは自分の土地をよく知ること

土砂災害は、前触れなく発生します。
地震で地面が動いたときや大雨で地盤が緩んでいるときに起きやすいですが、明確な兆候がわかりづらいことも多いです。

土砂災害の威力はとても大きく、崩れることに気がついてから避難したのでは助かりません。
このため、自分たちのいる場所の危険性についてあらかじめ知っておくことが最も重要なポイントになります。

どのくらい土砂災害が発生する可能性があるのかについては、自治体が発表している土砂災害危険度情報土砂災害ハザードマップなど)が参考になります。
ホームページで公開されていますので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

また、大雨などの気象情報などと併せて、気象庁と都道府県から土砂災害警戒情報が発表されます。
状況により土砂災害に関する避難情報も発表されますので、該当する地域にいる場合はできるだけ早く避難することが大事です。

まとめ:自分は大丈夫と過信せず、防災の基本を抑えて災害に備えよう

ここでは、災害への備えとして、4つの対策の基本的な方向と災害別の具体的な防災のポイントをご紹介しました。

「備えあれば憂いなし」という言葉、聞いたことがある方も多いのではないかと思います。
古代中国の「書経」に出てくるものなのですが、実は、よく知られているこの言葉の前に大事な文章が入っています。

書曰、書曰、居安思危、思則有備、有備無憂

(書に曰く、安きに居りて危うきを思う、思えば則ち備え有り、備え有れば憂い無し)

平穏で安全なときにこそ、危険な状態をイメージして備えることが重要なのです。
また、いつ起きるかわからない危険に備える対策は、災害だけでなく日常生活の様々な課題解決にもつながり、憂いのない毎日に近づいていきます。

手近なところからまず行動。
良質な情報をしっかりと集めて、できることから備えていきましょう。

災害に備える!防災グッズや備蓄についての記事はこちらをご覧ください。

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