明るい災害の話をしよう。vol.1 きっかけ食堂〈前編〉

白川
晴香ちゃん、東日本大震災のときって、まだ中学生だよね?

 

奥田
はい。中学2年生で岐阜に住んでいたので、テレビで観ていたくらいでした。

 

白川
きっかけ食堂を始めたきっかけ、つまり、東北に関わったきっかけはなんだったの?

 

奥田
それが、高校2年生のときの、美術の授業だったんです。
絵本をつくって、福島に送るっていう授業があったんですけど
現地に行きたい人は連れて行ってあげるよって、先生が言ってくれたのがきっかけで。

 

 

白川
え、それはすごい先生だね。

 

奥田
そうなんです。
でも、じつはもともと「東北のためになにかしたい」って思っていたわけじゃなくって。

 

白川
そうなんだ。

 

奥田
わたし、絵本が好きで、ストーリーも仕掛けも、とてもこだわって作ったんです。
だからつくっているうちに、手放すのが嫌になっちゃって(笑)
だから、この絵本をちゃんと渡したいなと思って、東北に行くことにしました。

 

白川
じゃあ最初は、支援しようと思って行ったわけじゃなかったわけだ。

 

奥田
はい。
そこで、その絵本を、福島の子どもたちに読み聞かせをする機会があったんです。
でも、福島の子どもたちにどう接したらいいか、どう向き合えばいいか、
ずっと悩んでいたんですけど、会ってみるともう、怪獣みたいで(笑)

 

白川
わかる。スケールはちいさいけど、立派な怪獣だよね(笑)

 

 

奥田
そのときに、「被災した子どもたち」っていう思い込みが、自分のなかにあることを知りました
そこから、私の東日本大震災と向き合うことは、はじまったのかも。

 

白川
もともと、支援が目的じゃなかったから、向き合い方なんて考えないもんね。
まさに、呼ばれて行って、その経験が今やってる「きっかけ食堂」へとつながったの?

 

奥田
そうなんです。私の前の代表の方が「きっかけ食堂」をスタートしたんですけど、
はじめて参加したときは、ギャップにびっくりしました。

 

白川
へえ。それは、どういうの?

 

奥田
大学に入ってからも、東北のスタディツアーとか、
震災のイベントには足を運んでいたんですけど、
なんていうか、こう、まじめすぎるというか、堅いというか…

 

 

白川
ああ、わかる。バスの中とかピリピリしてるもんね。

 

奥田
もちろん、お亡くなりになられた方もいるので、
ふざけたりするのはいけないとは思うんですけど。
でも、どうしても震災に関わる何かって、重たい、真面目すぎる印象だったんです。

だから、はじめて「きっかけ食堂」に行ったとき、
「被災地支援なのに、どうしてこんなに楽しいんだろう?」ってびっくりしたんです。

 

白川
うん。

 

奥田
普通にご飯食べている人もいるし、
東北の生産者の方に、テレビ電話をしている人もいて。

東北へ、まじめな関わり方ばかりしてきたけど、
こんな関わり方もあっていいよね、と思えるようになりました。

 

( 毎月11日に開催される きっかけ食堂の様子 )

 

 

白川
たしかに。楽しい関わり方が、すこしはあってもいいよね。
災害の話って、どこか重たく聞こえるし、重たく聞かなきゃいけない空気がある。

 

 

奥田
あります。
だから、私が引き継いだ後も、楽しい雰囲気のまま、続けていこうと思いました。
堅苦しくなりすぎず、一緒にご飯を食べるだけ支援になる、みたいな。

 

白川
ああ、いい。「食べる支援」って。いいよね。

 

奥田
めっちゃいいです!!私、食べるの大好きなんで(笑)

 

白川
どうして、「食べる支援」っていいんだろう?

 

奥田
まじめすぎないっていうのと…
あとは、災害の話もそうですし、共通の話題がなくても、
食べることでおんなじ感情になれるんです。

 

白川
おお。

 

奥田
災害のことでシェアできることって、きっと悲しみとか教訓が多い気がします。
けど、おいしさをシェアできる歓びというか…
イベントではなく、食卓だからこそなのかも。

 

白川
「おなじ食卓につく」って、大切なポイントだね。

 

奥田
あとは、ほんとうに食べ物がおいしいんです。
私たちの料理の腕というよりは、食材がおいしい。

 

白川
うまいよねえ、東北。

 

奥田
「こんな想いでやられていて〜」とか、
「このまえ行ったときは袋いっぱいのお土産を持たせてくれて!」とか、

料理を出すときに、できるだけ生産者の方の人柄とか、
ちょっとしたエピソードも一緒にお出しするんです。

 

白川
それ、おいしさの秘訣だね。
日本人って特に、「知識もいっしょに食う」みたいなところあるじゃない。

 

奥田
……どういうことでしょう?

 

白川
普通にサンマを出すよりも、「〇〇で獲れたサンマです」とか、
「東北でお世話になっている〇〇さんが送ってくれたサンマなんです」のほうが、
どこかおいしい印象がしない?

 

奥田
あ、しますします!

 

白川
日本人特有なのかはわからないけど、
そうした知識もいっしょに食べるというか、
純粋なおいしさ以外のところにも、
おいしさを感じているところがある気がする。

 

奥田
「おいしい以外のおいしさ」ですか。

 

白川
そうそう。
そういうのをシェアできるんだから、そりゃあ楽しいよね。

 

奥田
おいしいし、楽しい。
ハッピーな災害との向き合い方ですよね。

 

白川
食べる支援っていうより、おいしい支援だね(笑)

 

 

 

 

(つづきます)

 

 

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