瓦礫撤去に奮闘した建設業者

東日本大震災大船渡市建設業協会副支部長インタビュー

震災翌日からの瓦礫撤去

東日本大震災によって大きな被害を受けた岩手県大船渡市。

大船渡市 ロゴ

岩手県大船渡市。東日本大震災で大きな揺れと津波の被害を受けた。「21世紀に残したい日本の自然百選」の自然公園などを有し、碁石海岸は「日本の渚百選」にも選ばれている自然豊かで風光明媚な見所のある県である。

発災当時、市内には津波による大量のがれきが散乱しており、物資の運搬や救助活動に支障をきたすため、特に市内外を結ぶ基幹道路である国道45号を中心に、がれきの早急な撤去が求められました。

発災当日の夜、翌12日の朝には自衛隊が到着予定となっていたことから、市建設課に対して、国道45号の啓開(緊急車両が通るための最低限の通行幅を確保すること)のための重機を、翌朝までに手配して欲しいという要請がありました。

以下は(当時役職)岩手県建設業協会大船渡支部の副支部長であった紀室さんのインタビュー内容です。

 

“建設業者の社長宅を一軒ずつ訪問”

東日本大震災大船渡市国道45号線

──震災発生直後の岩手県建設業協会大船渡支部における対応について教えてください。

震災発生直後は、津波襲来が予想される事業所では社員を安全な場所に避難させるとともに、現場にいる従業員等を含めた安否確認を行いました。

その後、市の要請を受けて道路啓開作業やがれきの撤去作業に従事しました。震災発生直後は、電話がつながりませんでしたから、11日夜に市職員ががれきで塞がれていない道路を使い、行ける範囲の市内建設業者の社長宅等を一軒ずつ訪れ、市内建設業者は、翌朝からの道路啓開作業の協力要請を受けました。

この要請によって12日朝から大船渡支部会員の連絡のとれた5社によって、道路啓開作業が開始されました。

 

──道路啓開作業はどのように進められたのですか。

市役所の指揮下で、大船渡駅裏の国道45号を起点に作業を進めました。自衛隊や消防によって人が取り残されていないか確認をした後に、 重機で道路を啓開していきました。

地震によって支部会館が被害を受けていましたので、市役所の一室を借りて、作業終了後、 夕方には毎日会議を実施しました。翌日の作業予定や重機や人員の手配等について確認を行いました。こうしたことを毎日繰り返し行っていました。

 

”市や消防、警察との連携が必須”

東日本大震災大船渡市瓦礫撤去作業

──道路啓開作業が収束すると、がれき撤去作業に移ったと思いますが、これらはどのように行われたのですか。

市職員と当時の支部長ががれき撤去についてあらかじめ相談して、市内を9つのブロックに分けて対応することが決められました。その後、4月2日に市内業者でがれき撤去の割り当てを決め、これに基づいて対応しました。

がれき撤去の作業は、ご遺体や危険物、金庫等の発見時の対応や被災建物の解体時の対応等作業を円滑に進めるために、現場に市職員の方と消防団の方が1名ずつ張り付くとともに、警察の方とも連携しながら実施しました。

 

──がれき撤去作業では、市内の業者さんだけではなく、市や消防、警察等との連携が必要だったのですね。

そうですね、我々業者だけでは進めることができませんでしたから、各機関と連携をとって進めることができたことに、非常に感謝しています。

各ブロックの担当の職員の方々は、業者側の作業の進捗を踏まえながら、作業が円滑に進むように先回りして、建物所有者との交渉をしてくれました。所有者の許可がなければ半壊した建物等は解体できませんから、こうしたタイムリーな対応をしていただいたことで作業を進めることができました。

 

”情報共有の要はホワイトボード”

災害対策本部情報共有のホワイトボード

──当初は、携帯電話がつながらず通信環境が悪かったと思いますが。

電話で連絡をとることができないため、夕方に行う会議が情報共有の貴重な場となりました。この会議では、市の職員が率先して、各ブロックの進捗をホワイトボードに書きだし、翌日の作業予定を皆で確認しました。

 

”迅速な市役所の対応”

──がれき撤去作業をするための重機等の燃料の確保も困難だったと思いますがどのように確保したのでしょうか?

市役所の対応が非常に迅速で、重機を動かす燃料の確保を行ってくれました。また、作業員用の連絡車両の燃料についても、緊急車両に指定してくれたことで、市内ガソリンスタンドで給油することが可能でした。こうしたことを市役所の指導のもと、行うことができました。

 

──大船渡市は道路啓開もがれき撤去も他の被災地と比べて比較的円滑に行われたのではないかと思いますが、いかがですか。

大船渡市の道路啓開やがれき撤去作業は他の地域に比べても早かったのではないかと思います。市の道路啓開やがれき撤去は市役所の主導のもと、岩手県建設業協会大船渡支部がそれに従う形で行うことができたと思います。毎日のように担当者会議を開いて進捗を確認しながら、連携して取り組むことが出来ました。市役所は高台にあって被災を免れたため、指揮命令の拠点が確保されていたことも大きな要因だと 思います。

また、大船渡市におけるがれき撤去の進捗に大きな役割を果たしたのが、太平洋セメントさんです。太平洋セメントさんは、被災した高炉を突貫工事でいち早く修復し、海水を含んだがれきによる高炉損傷のリスクもある中、がれきを焼却してくださいました。

 

”市内業者と市役所との友好関係”

──今回の震災を受けて、岩手県建設業協会大船渡支部としての教訓にはどのようなものがありますか。

こうした災害がいつ発生するかもしれないという中で、できることから準備していこうと考えています。災害発生時に協会本部と支部との通信手段が途絶したことを踏まえ、協会として各支部に衛星電話やSkypeを準備して、災害発生時においても連絡をとることができる環境を整備しました。

また、避難訓練等自治体と一緒になって対応していかなければならないと考えています。 我々の業界は自分たちの事業所だけでなく、それぞれ現場を持っています。このため、従業員一人一人がどこにいても、命を守る行動をとることが必要です。現場を含めて、迅速かつ確実に避難行動ができるような訓練も必要になると考えています。

今回の震災対応においては、市役所は非常に誠心誠意やっていただいたと思います。最も肝心な燃料確保も全て行ってくれる等、業者側が動きやすい環境を率先して整えてくれました。 市内業者と市役所との元々の信頼関係も重要だったと思います。

今後、支部としては、市との協定等の締結も考えていく必要があると思っています。

まとめ

  • 災害時の活動は市や消防、警察等との連携によりスムーズに進めることができる
  • 情報共有の場を設けることが重要
  • 元々の信頼関係が、いざという時の協力体制を作ることができる

 

内容は全て岩手県大船渡市災害記録誌より抜粋しています

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