TSUNAGARIの理念と、噂のもつ力

御船町藤木町長との取材
前回の記事では3人のインタビューから、なぜTSUNAGARIが早期で熊本に入っていたのか、またクラウドファンディングで集めたお金がどう使われたのか、そして実際にTSUNAGARIの活動内容がどのようなものであったのかを取材。

しかし、代表である勝又氏の人間性に関する話は出てきていない。
また、一般市民から見たときにTSUNAGARIはどのように見えていたのだろうか?

これらの件に関して、御船町の町長である藤木さんと御船町で被災した女性にお話を伺った。

前回記事はこちら

TSUNAGARIが実際に関わった、御船町民の声

2019.03.27

 

「助けて”あげる”というスタンスではない」

御船町藤木町長

藤木正幸さん。熊本県上益城郡 御船町町長。熊本地震が起こり大きな被害を受けたが現在も精力的に町長として活動している。

 

実際に顔を見て「この人は大丈夫だ」と思った

ーー最初にTSUNAGARI代表の勝又氏と会った時、どのような印象を持たれましたか?

「地震が起こってからすぐ、『町民の知り合いで今御船に来ているTSUNAGARIというボランティア団体がいる』という話を聞いて、まずは会ってみることになりました。
そこで代表の勝又さんと実際に会って、『この人は信頼できる人だな』と思いましたね。

そして、御船町でのボランティア受け入れを決めて、初期段階からTSUNAGARIさんに活動を始めてもらいました。

役所は地震が起こったときでも、通常の業務もこなさなければなりません。また、夜中の突然の対応など、我々では対応しきれないところをTSUNAGARIさんに担ってもらったことが大変助かりました」

 

役員は三日間徹夜。精神的にも限界だった

ーーTSUNAGARIの勝又氏が、役所の職員を泣かせたなどの話は実際にあったんですか?

「全くもって、そんなことはありません。

ただ、その噂が流れた理由を推測するなら…当時、震災が起こった後、役所にはたくさんの電話や問い合わせがきていました。

役所の職員らは、震災によるストレスや3日も寝ていない環境に晒されていました。
けれども、次々に質問や苦情が飛んでくる。
状況的に返答できない質問もたくさんあり、本人たちにとっても『答えられない』ということはひどいストレスになって、泣きながら対応した職員もいました

こういう中で仕事をしていたから、みんな情緒は不安定でしたね。もちろん、役所で働く人たちも、同じ被災者ですから。

電話だけでなく、実際に『役所は何やってんだ』と怒鳴り込んできた風貌の怖い人もいました。

これらの情報が勝手に混ぜられて、”勝又が職員を恫喝して泣かせた”というような話になったのかもしれませんが、勝又さんが恫喝したなどという事実はありません

 

町民と繋がる団体”TSUNAGARI”

ーー藤木町長からみて、TSUNAGARIと町民の関係性はどうでしたか?

「まずね、批判していたのは本当にネットの人たちだけですよ。
もちろん町民の中にも、ネットの情報だけを見て、最初は彼らを批判していた人もいました。

けれども実際の活動を見たら、すぐにTSUNAGARIさんを認めるようになったんです。まあ、そりゃそうですよね。

TSUNAGARIさんに助けてもらった人が、別の人に『TSUNAGARIさんは大丈夫だよ』と伝える。
そうした声が広がって、また繋がっていって。まさに人と人との繋がりですね。

地元では曖昧な噂じゃなく、TSUNAGARIの行動力がものを言いました。

特に感心したのは、朝礼での姿勢ですね。
ボランティアの目的として、『御船町民のため』『現地の人たちに迷惑をかけない』という認識の共有を徹底してから毎日の活動に取り組んでいただいていました。
これがTSUNAGARIの強みだと思います。

また、ボランティアに参加して、心が動かされて涙する人もいました。
なかなか自分の気持ちを言葉にできなかった子どもが、素直に話せるようになったりもしました。

災害ボランティアを通して、被災者の方の心が変化していったのも事実です」

 

助けて”あげる”というスタンスではない

ーー役所としてTSUNAGARIがいてくれて助かったということはありましたか?

「そりゃあ、いくつもありますよ。なかでも一番助かったことは、『助ける側』の力になったくれたことです。職員の片手となって働いてくれたことね。

御船町の職員も被災していて、もともと役所の人数も少ない。
そんななかでTSUNAGARIさんは、被災した市民のみならず、困っている職員も助けてくれました。

当時、TSUNAGARIさんはもはや職員でした。
ボランティアで来てあげましたよ、という姿勢ではなく職員と同じ立場に立って活動してくれたんです
ボランティアと称しながらも、彼らは公人になっていたとおもいます。

TSUNAGARIさんがもし御船に来てくれていなかったら、もっと心のダメージを受けた職員が多かったと思いますね」

 

御船町町長とTechDesign取締役津田SAIGAI JOURNAL編集長津田(左)と御船町藤木町長(右)の写真

 

まとめ

勝又氏が役所の職員を恫喝して泣かせた、などの事実は存在していない
また、TSUNAGARIは御船町で役所などの「助ける側」のサポートも行なっていた

続いて、取材をさせていただいた丸山さんは、もともとTSUNAGARIとは知り合いでなかったという。
物資を求めて役所を訪ねたとき、偶然出会ったのがTSUNAGARIの現地リーダーの女の子だった。

「TSUNAGARIに頼んだら高額請求されるのでは」

丸山美奈子さん。御船町で田代食堂を経営。震災当時もご飯どころとして地元の避難所にて活躍。 役所に物資を求めて訪れたときにTSUNAGARIのメンバーと偶然出会う。

出会う前に知っていた黒い噂

ーー地震が起こって最初の方TSUNAGARIさんと関わりはなかったと聞きましたが、噂などは聞いたことはありましたか?

「実は、関わる前からSNSやネット上でTSUNAGARIさんについて変な噂が書いてあったことは知っていました。けれど正直、当時は様々な情報が錯綜していて、何の情報が正しいのかわからない状況でしたね。TSUNAGARIさんのことだけでなく、動物園からライオンが逃げたとか…そういった噂が流れていましたから。

関わった当初は、少し不安に思っていましたが、実際話してみると、本当にいい子たちばかりでした。

みなさん、『熊本のため、御船のため』といって素直に活動されている方ばかりで、御船にすぐ入ってくれたTSUNAGARIさんには感謝しています」

御船市田代食堂

TSUNAGARIに頼んだら高額請求されるのではと怖がるお年寄り

ーー噂による弊害などは何かありましたか?

「ありましたね。家の瓦が壊れて困っていた地元のお年寄りの2人の話なんですけど。

崩れた瓦の対処にブルーシートをかぶせるだけなのに、当時業者はこういった作業に30万円を吹っかけるようなこともありました。なので、その2人の知り合いだった私は『TSUNAGARIさんにお願いしたら?』と提案したんですよ。

すると2人は『その団体に頼んだら、高額な請求をされると噂で聞いた』と不安がっていました。

TSUNAGARIさんが信頼できる団体であることを私は知っていたので、『私が責任を持つから。悪い人たちじゃないから』と2人に伝えて、TSUNAGARIさんに依頼するように説得しました。

実際2人がTSUNAGARIさんに依頼したら1日で対処してくれて、最初は不安がってた2人も作業が終わったあとは『どんなお礼をしたらいいか…お菓子とかあげたらいいのかしら』と、喜んでいましたね。

人なんて実際に関わってみないとわからないのに、どうしてそんな噂が広がったんでしょうかね」

まとめ

震災直後は混乱しやすい状況だからこそ、噂に振り回されないように心がけていた。
だが噂による影響で、TSUNAGARIに支援されることを不安がる人もいた

 

今までの記事で、実際に関わった人たちから見たTSUNAGARI、また勝又氏はどのような人間だったのか、お話を聞くことができた。

ネット上では批判の数々だが、実際に関わった人たちの声としては真逆のことを言っている。そんななか、代表である勝又氏本人は、こうした一連の騒動や噂に関してどのように考えているのだろうか?

 

そこで、最後に勝又氏本人にインタビューを行なった。

 

次回「TSUNAGARI代表の勝又氏が語る誹謗中傷と今後」に続きます

 

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