最終更新日:2023/01/30 (公開日:2019/02/25)
DMATとはわかりやすく解説!看護師がDMATになるための必要な資格や条件もご紹介
画像引用:宝塚市立病院
目次
DMATとは?わかりやすくまとめ
DMATのメンバーと仕事内容
DMATとは、” Disaster Medical Assistance Team”の略語です。
構成メンバーは、医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)です。
大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った専門的な訓練を受けた医療チームです。
引用:厚生労働省 > http://www.dmat.jp
大規模な災害や事故が起きると、災害が起こった当該箇所の自治体の医療機関のみでは、救助に関する人員も資材も不足してしまいます。
また、命に別状のない怪我の患者でも必要な治療を受けずに時間が経過すると、症状が急変する可能性もあります。
その為、災害現場では一刻も早く人命を救出救助するとともに、必要な医療措置を行わなければいけません。
DMATが発足した背景
きっかけは1995年の阪神・淡路大震災です。
阪神淡路大震災では各機関で対応が遅れたり連携が上手くいかなかったという現状がありました。
阪神・淡路大震災の発災時に、平時の救急医療レベルの医療が提供されていれば救命できたと考えられる「避けられた災害死」が500名存在した可能性があるという報告もあります。
阪神・淡路大震災の経験から災害医療について多くの課題が浮き彫りとなりました。
各行政機関、消防、警察、自衛隊と連携しながら救助活動と並行し、医師が災害現場で医療を行う必要性が認識されるようになりました。
当時知られていなかった症例の一つに「クラッシュ症候群」というものがありました。
がれきなどに長時間挟まれ毒素が溜まったことで、救出後に心停止や急性腎不全などが発症する症候群のことです。
この症候は当時医療関係者にもあまり認知されていませんでした。
クラッシュ症候群に関しての詳しい記事はこちらです↓
阪神・淡路大震災の教訓からクラッシュ症候群など多くの災害医療の課題を解決するために、発足した組織が数多くあります。
「DMAT(災害派遣医療チーム)」をはじめ「ドクターカー」「ドクターヘリ」などが作られました。
災害時のDMATの仕事内容
では次に彼らの活動についてもっとよく知ろう!
仕事内容と活動期間
DMATに登録している医療従事者は普段は勤務先の病院で働いています。
大きな災害や事故が近くの地域で起こった際に、DMAT隊員として召集され医療活動を行います。
勘違いされている方もいるかもしれませんが、DMAT隊員は常に災害等の救助活動を行っているわけではないのです。
DMATは災害後に48時間以内に要請があればすみやかに被災地や事故現場まで駆けつけます。
よくニュースで
「発生から何時間経過した」
「72時間まであと何時間」
というようなフレーズを聞いたことはありませんか。
これは生存率を大きく分ける時間が発生から72時間だからです。
72時間までがDMATの活動中心時間ですが、場合によっては活動が1週間を超える場合も予想されます。
DMAT隊員の活躍
東日本大震災の際は全国から約340隊、1500人が派遣されました。
この震災では瓦礫に挟まってしまった人を救助する、というようなケースよりも
津波により孤立してしまった病院の患者の搬送、治療がメインでした。
熊本地震の際は、約1500人以上もの患者を搬送し、東日本大震災の経験を生かしよりスムーズに搬送することができたそうです。
また、2005年の福知山線脱線事故では下敷きになった人を救出する際、クラッシュ症候群に注意しながら治療を行いました。
これは阪神・淡路大震災の経験を生かせたと言えるでしょう。
看護師や医師がDMAT隊員になるためには?
もし諸君がDMAT隊員になりたいなら
どうすれば良いのだろうか?
DMAT隊員になるには3つの条件があるぞ。
必要な条件と資格
DMAT隊員になるためには3つの条件をクリアしないといけません。
まず1つ目は医療従事者であることです。
つまり医師や看護師、救急救命士、薬剤師等の資格を保有していることが大前提です。
2つ目は災害拠点病院で勤務していることです。
災害拠点病院は24時間災害に対する対応ができる病院で、全国で600を超える病院が指定されています。
そこであらゆる経験を積み、災害という緊急事態でも冷静に判断を下せるだけの
知識を身につける必要があります。
3つ目は養成研修を受け、研修に合格することです。
災害拠点病院で経験を積み、DMATの養成研修を受けることができる
隊員候補に選抜される必要があります。
選抜されると4日程度行われる研修に参加することができ、この研修に合格すると見事DMAT隊員として認定されます。
DMATのこれから
近い将来、南海トラフ地震や首都圏直下型地震が予想されていますが、
このままでは圧倒的にDMATのチーム数が足りません。
各病院で災害医療の対策、長期化した時のための備品、食料飲料、電気の対策等を強化しなければなりません。
また災害の状況や内容に応じて柔軟に対応できる体制が必要です。
政府との連携、他県との連携が上手くいかず、過去に対応が遅れた例も指摘されています。
異なるニーズに対応できる適応力を身に付ける事が、今後DMATに課せられた課題であると言えます。
まとめ
人の命を救うために重要な役割を担っているDMATだが、
まだまだ隊員の人数は足りていない。
各病院、そして自治体の対策・連携が不可欠だ。
災害が起こった時、
諸君がDMAT隊員ではなくとも
正しい知識と冷静な判断はより多くの人の命を救うはずだ。
これからも正しい知識と情報を伝えていくぞ。
諸君はDMATという言葉を聞いたことがあるかな?
今回は震災や事故の際活躍してくれている彼らのことをもっとよく知ろう!