最終更新日:2022/09/03 (公開日:2020/02/01)
[生き抜く知恵]vol.1 薬草
滋賀県長浜市のとある場所にある、生き抜く知恵の実験室WEEL。
ここでは日夜「生き抜く力」について考え、時にそれらを身につけるための実験やチャレンジや発信がおこなわれています。
「防災」って、きっとこれからの時代においては自然災害に対するだけのものじゃなく、人生そのものを生きていくための「生き抜く力」のことになる。そんな仮説のもと、生き抜く知恵を学んでいく暮らしの中で、特色あるゲストを招いての特別研修もおこなっています。
今回は、「薬草」。
わたしたちが学んだ生き抜く知恵を少し、ご紹介させてください。
生き抜く知恵のかけら
2. 一人一人食べるべきものも、食事の考え方も違う
3. 栄養学と薬膳はセットで考えるもの
知恵の持ち主は新田理恵さん
新田理恵(にった りえ)
それから新田さんは、西洋栄養学と東洋薬膳学の両面から料理、それを取り巻く環境、空間、 文化、関係性などから多角的に食生活の提案をしている。
一人一人食べるべきものも、食事の考え方も違う
(滋賀県長浜市木之本町でとれた、いたどりの炒め物)
栄養学と薬膳の違い
新田さんが西洋栄養学と東洋薬膳学の両面から物事を捉え、活動するには「栄養学」と「薬膳」の違いを知る必要がある。
全体で何キロカロリーとるべきか、などという「割合」・「構成」を決めるもの
薬膳
対象者の体質や体調にあわせ、「この人は冷えやすいからトマトより人参だ」など、その中での変化
栄養学だけで食を提案するのではなく、一人一人に合わせて提案していく「カスタマイズする」ことが大事だという。
先人の暮らしの知恵が伝統茶にはある
(tabelのプロダクト)
伝統茶に使われている薬草は、昔の人たちが、緑茶がものすごく高価だったときにお緑茶代わりにずっと愛飲していたもの。日本にはたくさんの気候があり、北海道と沖縄、山や海など地域によって育つ草木も異なる。
その町でしか採れないもの、その町ならではの薬草で作り出すものは、その土地の文化に根付いた暮らしの知恵があるものになる。新田さん曰くそれぞれの薬草には、個性的な味や効果、ストーリーがあるという。
コンビニやスーパーで既製品を購入するのもお手軽でいいが、その土地の気候の沿って生き抜いてきた薬草をお茶にしたり、食事に含めることで「その土地で生きる」ことがより身近となるのではないだろうか。
自分を知り、自分に必要なものを知る
(滋賀県長浜市の郷土料理を教えてくださった肥田さんとの時間)
ダイエットするためにはああしたほうがいい、こうしたほうがいい――
貧血が起こりそうな時はほうれん草やひじきをたべるといい――
おじいちゃんやおばあちゃんから受け継いだ知識や、本などに書かれているものももちろん身につけていて損はない。
しかし、それが本当に「自分に必要なものなのか」「この土地に適したものなのか」は確認し直すと面白い。
同じ人間とはいえ、体に熱がこもりやすい人が体を温めてしまう食事をとるとどうなるだろう。冷え性の人が体を冷ます野菜を食べるとどうなるだろう。自分がどんな体調のくせをもっていて(そしてこれはどんな病気をもっているかというよりも、自分の特徴を捉え直すということ)、何を必要としているのか見直し、その土地にあるもので無理なく自分の体調と寄り添いながら食事を続けていく。食を通して自分自身をよりよくしていく。
そして、郷土料理はその土地の恵みを無理なく、合理的に作ることができたり、時には行事やお祝いなどの社会的、儀礼的意味を持ちながら形作られている。この土地で、この町で生きるのに最適化されているのだ。特に冬は、雪に埋もれて食材が少なくなるので、鮒寿司や漬物などの保存食が生き延びられるかどうかと直結している。
家の機密性が上がって暖かくなり、冬でもフレッシュな野菜が手に入る今、郷土料理は何を取捨選択していくかが問われている。この積み重ねが、のちに振り返ると食習慣、食文化となっていく。
これこそが新田さんの知りたかった長浜に根付いた古き良き暮らしの本質であり、そこに迫ることが生き抜く知恵のヒントにつながる。
他にも生き抜く知恵の実験室WEELでは研修・動画配信など様々な取り組みを滋賀県長浜市さんと行なっております!ぜひ下の画像をクリックしてご覧ください!