最終更新日:2023/06/28 (公開日:2018/09/07)
【茨城県】自然災害の種類&特徴を解説!!3つの対策ポイント
地震、津波、台風、土砂災害…。「災害大国」ともいわれる日本列島では、いつどこで災害に遭遇してもおかしくありません。
茨城県も、2011年の東日本大震災をはじめとする大きな自然災害に何度も見舞われてきました。
災害への備えは、地域ごとの地理的特徴と社会特性を知り、災害の種類ごとにどんな影響がおきるのかを正確に把握するところからスタートします。
ここでは、茨城県における地震・津波災害、風水害、土砂災害の特徴を整理し、それぞれの災害についての対策のポイントを紹介します。
目次
茨城県で想定される地震・津波災害
地震災害には、陸域の浅いところで活断層が活動することにより発生する直下型の地震と、海域のプレートが跳ね上がって発生する海溝型の地震とがあります。
茨城県に影響する直下型地震と海溝型地震について、発生のしやすさと起こりうる被害想定についてみていきましょう。
茨城県における直下型地震
茨城県における直下型地震では、茨城県南部の地震が、今後30年以内に発生する確率が高く、県の中部・南部へ甚大な影響を与えると想定されています。
そのほかにも、茨城県内では、茨城・埼玉県鏡の地震や、F1断層などの連動の地震、棚倉破砕帯東縁断層などの連動の地震などが大きな影響を与えると想定されており、県北部でも甚大な被害が発生する可能性があります。
つまり、県内のいつどこで地震がきてもおかしくないのです。
震度分布(揺れやすさ)
<茨城県南部の地震の場合の揺れやすさ>
茨城県の中部・南部へ甚大な影響をあたえる茨城県南部の地震の揺れやすさを表す震度分布図は以下のとおりです。
つくば市などで最大震度6強、水戸市などで6弱、県中部・南部を中心に震度5弱以上の強い揺れに見舞われると想定されています。
<F1断層などの連動の地震・棚倉破砕帯東縁断層などの連動の地震の場合>
下の図は、茨城県の北部へ影響をあたえるF1断層などの連動の地震・棚倉破砕帯東縁断層などの連動の地震との揺れやすさを表す震度分布図です。
つくば市などで最大震度6強、水戸市などで6弱、県中部・南部を中心に震度5弱以上の強い揺れに見舞われると想定されています。
液状化
大きな揺れにより地盤が液状化を起こすと、水道管やガス管などの地中のパイプが破損する被害が発生します。
下の図は、茨城県南部の地震での液状化の起こりやすさを表した液状化の可能性(左)と沈下量(右)を表したものです。南部を中心に、広い範囲で危険度が高くなっています。
建物倒壊、地震火災被害
直下型の地震は比較的浅いところで発生するため、マグニチュードは小さめでも大きな揺れになり、建物倒壊などの危険も大きくなります。
茨城県南部の地震が冬の18時に発生した場合、南部を中心に全半壊する建物が約600棟近く、火災焼失が約5300棟にのぼると想定されています。
人的被害
建物の倒壊や火災、斜面崩壊などにより、大勢の死者や負傷者が発生します。
茨城県南部の地震が冬の深夜に発生した場合、死者数が約180、負傷者が約4,400人発生すると予測されています。
また、被災により避難所での生活を余儀なくされる人は約14万人以上になり、1ヵ月後でも約6万人が避難生活を続けていると予測されています。
インフラ被害
大きな揺れにより、地中に埋められた管渠が損傷し、上下水道、電力、通信、都市ガスなどのインフラ施設にも大きな被害が発生します。
また、高速道路などの道路被害、鉄道被害、港などの公共施設の被害も想定され、移動手段にも支障が出ます。
市民生活への影響がもっとも大きくなるのは茨城県南部の地震で、以下のような大規模なライフライン停止が予測されています。
l 停電:約152万3,000軒
l 断水:約235万6,000人
l 下水道支障:153万5,000人
l 都市ガス停止:約13万3,000戸
l 情報通信:約40万回線以上
その他、交通混雑が激しい平日朝夕の時間帯に地震が発生した場合などは、市街地では通勤・通学者を中心とする死傷者の発生規模がさらに拡大したり、エレベーター停止による閉じ込め被害が発生したりすることも想定されます。
茨城県における海溝型地震
茨城県における海溝型地震としては、茨城県沖~房総半島沖で発生する地震が県に大きな影響を与える地震として想定されています。
茨城県沖~房総半島沖で発生する地震の震度分布(揺れやすさ)
茨城県沖~房総半島沖で発生する地震の揺れやすさを表す震度分布図は以下のとおりです。
南部を中心に、水戸市などでも6強など、広範囲で強い揺れに見舞われると想定されています。
茨城県沖~房総半島沖で発生する地震の場合の津波の高さ、到達時間
海溝型の地震でもっとも顕著となるのは津波による被害です。
茨城県沖~房総半島沖で発生する地震の場合、最速17分で津波が到達し、最高で11mを超える高さになるとされています。
津波はものすごい量の海水が壁のようになり、桁違いの圧力であらゆるものを一気に飲み込んで、まきこまれたガレキと一緒になってすべてを押し流します。2mの津波で木造家屋は完全に破壊されてしまうといわれています。
茨城県沖~房総半島沖で発生する地震の場合の人的被害、建物被害、インフラ被害
茨城県沖~房総半島沖で発生する地震の場合、人的被害では、死者数が約100人、負傷者が約2,300人発生し、建物被害では約4万1,000棟が津波や火災、揺れなどにより全半壊すると予測されています。
また、被災により避難所での生活を余儀なくされる人は約16万7,000人にのぼり、1ヵ月後でも約5万人以上が避難生活を続けていると予測されています。
さらに、以下のような大規模なライフライン停止が広範囲で発生すると予測されています。
l 停電:約155万軒
l 断水:約238万人
l 下水道支障:157万人
l 情報通信:約41万回線
東日本大震災発生時の茨城県の被害状況
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本海溝のプレートが広範囲に揺れる超巨大地震でした。
茨城県内では、最大で震度6強を観測し、大洗で4.0mの高さの津波が観測されました。
東日本大震災関連で66人の方が亡くなりました。このうち、地震などの直接被害ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労などの間接的原因で亡くなった「災害関連死」が42人と、直接の場合より倍近くになっています。
また、家屋被害は全半壊が2万5,000棟以上、半壊19万棟以上、ピーク時には600箇所近くの避難所に7万7,000人以上が避難するなど、甚大な被害となりました。
東日本大震災のような巨大な地震が今後また発生する確率は大きくないですが、津波を伴う海溝型地震は広域での影響を及ぼしやすいので、いつどんな規模の地震が発生するかわからないことを肝に銘じておきましょう。
茨城県における風水害
茨城県で気をつけなければならない災害は、地震だけではありません。過去には、台風や大雨による風水害も、大規模な被害が発生しています。
台風被害
台風は、7月から9月を中心に接近したり上陸したりするものが多く、茨城県でも毎年のように台風の襲来に見舞われます。
台風が来ると、暴風や浸水、高潮や高波などで大きな被害が発生する場合があります。
集中豪雨、大雨被害
台風だけでなく、前線の活発化による集中豪雨の被害も多くなっています。
例えば、2015年の9月に発生した「関東・東北豪雨」では、台風や前線の影響で、特定の箇所に降雨が集中する「線状降水帯」が次々と発生し、記録的な大雨となり、鬼怒川の堤防が決壊したこともあり、死者15人、5,700棟を超える建物が全半壊するなど、大きな被害となりました。
茨城県における土砂災害
毎年発生する自然災害の中で、死者や行方不明者が発生する割合がもっとも高いのは、実は土砂災害です。
阪神・淡路大震災と東日本大震災の特異ケースを除けば、自然災害による死者・行方不明者のうち4割を土砂災害が占めています。
土砂災害は、がけ崩れ、土石流、地すべりの順に発生しやすくなっています。
茨城県でも、多くの土砂災害が発生しています。県内で土砂災害が発生しやすいと想定される土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域は、全体で7,600箇所近くに登ります。
茨城県における防災対策のポイント
①地震・津波への備え
地震・津波は突然発生し、破壊力が非常に大きいため、何をおいても命を守るための対策をたてておくようにしましょう。代表的なのは揺れを抑える対策です。自治体によって耐震診断などに助成金を出している場合もあるので、問い合わせてみて積極的に活用しましょう。
l 耐震補強:壁や屋根、天井、照明器具など
l 家具や家電製品の固定、棚の中身の飛び出し対策、ガラス飛散防止対策
また、大規模な地震の場合はどんなに備えていても必ず被害が発生すると覚悟して、長期間の被災生活を想定した備えをしておくことも重要です。
l 停電対策:バッテリーや蓄電器、簡易発電機などの準備
l 断水対策:飲水や生活用水の確保
l 下水対策:下水道損傷に備えた簡易トイレの確保
l 備蓄対策:食料、生活必需品の備蓄
l 避難対策:津波や大規模火災時の避難場所、避難方法の確認、非常持出品の整理
特に沿岸部においては津波対策が重要です。津波からの避難は一刻を争います。ふだんから高台や津波避難タワーなど、津波から逃れるための場所を確認し、いざというときにすばやく逃げることができるよう、避難訓練にも参加しておきましょう。
②風水害への備え
風水害の場合は、気象庁からあらかじめ予報が出されるため、できるだけ早く正確な情報をつかんで、災害が発生する前に避難できるようにすることがもっとも重要なポイントとなります。
ふだんから気象関係のアプリやホームページにアクセスして、どんな情報がどこにあるか、どのくらいの状態になったら避難などの対応が必要かなど、気象情報を正しく読み取れるようになっておきましょう。
③土砂災害への備え
土砂災害は前触れなく発生します。大雨で地盤が緩んでいるときに起きやすいですが、はっきりとした兆候がみつけにくいことも多いため、崩れることに気づいてからでは助かりません。
土砂災害の場合は、土地の危険性についてあらかじめ知っておくことがもっとも重要なポイントになります。
土砂災害の危険性については、自治体が発表している土砂災害危険度情報(土砂災害ハザードマップなど)が参考になります。ホームページで公開されていますので、あらかじめ確認しておきましょう。
また、大雨のときには、気象庁と都道府県から土砂災害警戒情報や土砂災害に関する避難情報も発表されますので、該当する地域にいる場合はできるだけ早く避難してください。
気象庁 土砂災害警戒情報・大雨警報(土砂災害)の危険度分布についての解説ページ
まとめ
災害はいつどこで発生するかわかりませんが、むやみやたらと恐れて根拠のない都市伝説に引っかからないようにしましょう。
一人ひとりが災害に対する正しい知識を身につけ、「きちんと怖がる」ことが、災害と向き合う第一歩です。
「まさか自分が」とならないよう、良質な情報を集め、できることから備える行動を起こしましょう。