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公開日:2022/10/19

家庭でできる大雨、洪水対策|事前準備から避難まで

大型台風やゲリラ豪雨、最近は線状降水帯と呼ばれるものまで、近年水害による被害が急上昇しています。本記事では、水害からご自身や家族の命、またご自宅などの資産を守るための具体的な方法について記載します。

01. リスク情報と具体的な行動の確認

①ハザードマップの確認

自分が住んでいる地域の水害の危険度を調べるためには、ハザードマップを見ることがおすすめです。

ハザードマップには、津波、土砂災害など、いくつかの種類がありますが、大雨や豪雨による水害の危険度を確認するには、「洪水ハザードマップ」を確認しましょう。

ハザードマップは、オンラインの地図上で確認するものと、各市町村がPDFデータで公開しているものがあります。どちらも、国土交通省が運営しているハザードマップポータルサイトから確認することができます。

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引用:国土交通省 > ハザードマップポータルサイト

ハザードマップを確認すると、地域ごとの「浸水深」が確認できると思います。こちらの浸水深が、浸水した際に水面から地面までの深さ(高さ)ですので、洪水などがあった場合に、自分の住んでいる家が、どれくらいの深さ(高さ)まで浸水するのかを把握しておきましょう。

洪水ポータルひろしま

出典:広島県 > 洪水ポータルひろしま

②防災マイタイムラインの確認

ハザードマップの確認ができたら、次に防災マイライムラインを確認しましょう。

マイタイムラインは、一人ひとりの防災行動計画で、河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理したものです。

国土交通省では、マイタイムラインを家庭ごとに作成すること推奨しており、最近では小中学校の授業で作成することも増えてきたようです。

作成してあるご家庭は、改めてマイタイムラインに記載の具体的な行動を確認してみましょう。

作成していないご家庭については、是非とも時間がある時に作成するようにお願いします。詳しい作成方法については、別記事で改めて解説したいと思います。

02. 大雨、洪水の発生前にやるべき4つの浸水対策

防災博士
大雨や洪水は、地震と違って天気予報などの気象情報から起こることが事前に予測しやすい災害です。

けれども予想を超えるほどの大雨や短期間に集中的な豪雨によって、家が浸水してしまったり避難が遅れて家に取り残されることが増えていることは知っていますか?

災害になる前に、家庭でもできるちょっとした対策をやることだけで、被害は抑えることができるので今からそれを紹介します。

①土嚢、水嚢を作って設置する

浸水対策土嚢

洪水の時、玄関からの水の侵入はもちろん、トイレや浴室、キッチンなどの排水溝から逆流した水が溢れる場合もあります。

逆流した水は下水などの汚水が流れ込むことから、細菌やカビの繁殖が進み、感染症の恐れもあります。

その際に非常に便利なのが、土のうや水のう。土のうや水のうを設置することで、止水版の代わりになり、浸水を軽減することができます。

特に水のうは作り方が非常に簡単で、土のうと比べて片付けの手間もかかりません。

家庭にあるものですぐにできるので、台風や豪雨がくることがわかったらすぐに作成して設置しましょう。

設置場所は、玄関・トイレ・浴室・キッチン・洗濯機です。

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(引用:国土交通省 > 家庭で役立つ防災

作り方から、ダンボールやビニールシートなど自宅にあるものを組み合わせて作る方法もあります。以下の動画では実際の配置まで解説してくれているので是非ご確認ください。

②家の周りの排水路の詰まりを取り除く

家の周りの雨水ますが物で塞がれていたり、ゴミが詰まっていると道路の雨水が流れこまず、その周辺で浸水がおこる可能性が高くなります。雨どいも同様で、ゴミや落ち葉で詰まっていたり、破損があった場合、想定した排水ができなくなる恐れがあります。

鉢植えや、車のために置いている段差プレートなどで意図せずに塞いでいる可能性もあるので、大雨や台風前に確認するようにしましょう。

また、日頃から家の周りを掃除する際に、ゴミを雨水ますの穴に入れてしまわないように気をつけましょう。

③床下収納からの浸水を防ぐ

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床下が浸水すると、床下収納口の蓋が開いて水が室内に入ってくることがあります。床下収納に入っているものを取り出し、濡れても大丈夫な重いものや水のうなどで蓋を防ぐようにしましょう。

④家財を2階などの高い所にあげる

水害による家財被害を軽減するために、家財を2階などの高い所にあげるようにしましょう。何を上げればいいかわからない人は、以下のチェックリストを確認ください。

  • 重要書類や現金、貴重品
  • 高価な家電製品(パソコン、カメラ、テレビなど)
  • 数日分の衣類
  • タオル

自動車については、早めに安全な場所に移動するか、マフラーやエンジンの部分が浸水すると故障するので、浸水しないように防ぐなどの対策ください。

畳があるご家庭について、畳については、浸水してしまうと使えなくなるので、テーブルの上に載せておくだけでも浸水を防げる場合があります。

02. 大雨、洪水の発生前のチェック項目

①防災リュックの中身

防災博士
洪水や台風によって、電気や水道はもちろん、道路などのライフラインが断絶されてしまう可能性があります。数日間、支援物資が入ってこないとなった場合でも、あなたは大丈夫でしょうか?

避難所には必要最低限のものしかありませんし、多くの方が避難所に殺到した場合は、全員に支援物資が行き届くことは無理です。自分が必要なものは自分で用意する必要があります。

大雨、洪水が来ると分かった時は、防災リュックの中身を確認してみてください。以下に確認用のチェックリストを作成したので、参考にご利用ください。

  • 消耗品の過不足がないか
  • 常備薬が変わっていないか
  • バッテリー、電池が使えるか(フル充電されているか)
  • ラジオ、ライトなどの機器が動作するか
  • 水、食料の賞味期限が過ぎていない

防災リュックの基本的な作り方については、以下の記事で解説しているので、確認してください。

【保存版】防災リュックの作り方!手作りがおすすめな理由&リスト付

2018.12.30

1人暮らしの防災セット選びから管理まで!防災セット選びの基本を網羅!

2022.10.18

②災害発生時の連絡手段

防災博士

豪雨で身動きが取れなかったり、家族と別々に避難しないといけない状況になるかもしれません。

災害時にはアクセスが集中したり、断線などの影響で、電話やインターネットが繋がりにくくなることもあります。

あらかじめ家族や大切な人のスケジュールを把握し、できるだけ複数の連絡手段を把握しておくことが重要です。

(1)「既読機能」が活躍するLINE

災害時にもっとも安否確認がしやすいのは「LINE」です。

東日本大震災のあと、大事な時の”ホットライン”としても使えるようにという意味を込められてLINEは立ち上がりました。

相手が読んだことがわかる既読機能に加えて、「LINE安否確認」で安否を知らせたり、写真や位置情報を共有することができます。

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出典:LINE > 緊急時に役立つLINEの使い方

家族でLINEグループを前もって作っておけば安否確認も素早く行うこともできます。

(2)電話回線しか使えないなら災害伝言用ダイヤル「171」

SNSを使い慣れていないという方は災害伝言用ダイヤルが使えます。

電話で「171」にかければ音声案内にしたがって簡単に音声メッセージを登録することができるので、相手の電話番号を把握さえしていれば高齢者の方なども使うことができます。

スマホが使えない相手との安否確認や、インターネット回線が使えない状況、公衆電話や固定回線しか使えない状況の際は171がもっとも繋がる確率が高いといえます。

電話番号は171=「いない」で覚えましょう。

総務省|報道資料|災害時には「災害用伝言サービス」やメールを御活用ください

出典:総務省 > 災害用伝言サービス

04. 大雨・洪水発生時

①避難するときのタイミング

防災博士

早めの避難が大事なのはわかっているが、そもそも避難するべきタイミングがわからない、という方も多いのではないでしょうか。

これを見れば避難するべき基準がわかります。

この基準を頭に入れておき、状況に応じて行動するようにしましょう。

地域ごとに避難情報が流れると思いますが、その名称ごとの対応を把握しておくことは、避難の判断を下す際に非常に重要となります。

情報ごとの対応は以下の通り。

警戒レベル1は、今後気象状況が悪化するおそれを気象庁が早期注意情報として発表しますので、災害への心構えを高めましょう。警戒レベル2は、気象状況の悪化を気象庁が大雨・洪水注意報として発表しますので、自らの避難行動を確認しましょう。警戒レベル3は、災害のおそれがあることを区市町村が高齢者等避難として発令しますので、危険な場所から高齢者等は避難しましょう。警戒レベル4は、災害のおそれが高いことを区市町村が避難指示として発令しますので、危険な場所から全員避難しましょう。警戒レベル5は、災害の発生又は切迫していることを区市町村が緊急安全確保として発表します。命の危険がありますので、直ちに安全確保を行いましょう。警戒レベル2相当情報には、氾濫注意情報があります。警戒レベル3相当情報には、氾濫警戒情報、洪水警報や大雨警報があります。警戒レベル4相当情報には氾濫危険情報や土砂災害警戒情報があります。レベル5相当情報には、氾濫発生情報や大雨特別警報(土砂災害)があります。

出典:内閣府 > 避難情報のポイント

人間は、何か非日常の出来事が起こった時でも大丈夫だと感じてしまう「正常性バイアス」という心の動きを持っています。

これは生活においてストレスを感じすぎないようにするための心の防御反応なのですが、災害の避難においては「逃げ遅れ」を誘発する原因となってしまいます。

東日本大震災での津波による被害の多くは、避難の逃げ遅れが大きな原因となっています。

台風が近づいている時は「大丈夫」と思い込まずに、早めの避難をすることが命を守ることに繋がります。

②避難する時に気をつけること

防災博士

じゃあもしも君がいるところで、

今大雨・洪水が起こっているとき、どういう風に避難するのが正しいだろうか?

今度は避難の時に気をつけるポイントを説明します。

簡単なことだが知っていると落ち着きを取り戻せたりするなど、精神的にも安心することができます。

(1)避難の際は、基本的に複数人で行動する

集団での避難

一人で避難してしまうと、トラブルに巻き込まれてしまった時に助けを呼ぶことができません。

家族や近所の人などとできれば複数人での避難を行うようにしましょう。

もし一人で避難することになった場合は、笛や防災ブザーなどを持ち、何かあった際に周囲に知らせられるようにしましょう。

(2)冠水している道路は棒をつかって歩く

冠水道路からの避難

冠水している道路は、マンホールや側溝のふたが外れて転落する可能性があって危険です。

避難の際にやむを得ず冠水箇所を移動する場合は、傘などの棒で地面を探りながら避難してください。

(3)状況に応じて早めの避難を行う

土砂災害 避難

避難は夜間に行うと危険です。できるだけ昼間の避難が好ましいです。

また、家に高齢者や障がい者など、避難が困難な人がいる場合は早めの避難を心がけましょう。

近所に独り身の高齢者などがいた場合は、声をかけて地域で助け合って行動するようにしましょう。

(4)長靴だと水が入ってくるので運動靴で避難する

大雨洪水避難運動靴

浸水が進んでくると、長靴自体が全て水に浸かってしまって非常に脱げやすくなります。

一度脱げてしまうと再び探すのは難しく、怪我の危険も増してしまいます。

運動靴で脱げないように紐をしっかりと結んで避難するようにしましょう。

③大雨と洪水の知識・行動まとめクイズ

防災博士

正しい知識は身につきましたか?

きちんと理解できているかクイズを用意したので、是非ご確認ください!

Q1.浸水の可能性がある時は玄関を土のうや水のうで塞げば良い。正しい?
×

玄関からの水の侵入はもちろん、浸水時にはトイレや浴室、キッチンなどの排水溝から逆流した水が溢れる場合があります。

屋内なので、水のうで塞げば片付ける時にも手間がかかりません。

Q2. 玄関前を掃除して、集めたゴミは雨水ますの穴に入れた。正しい?
×

雨水ますは道路が水浸しにならないように水を流れ込ませる導線のようなものです。

そこをゴミで塞ぐと水が道路に溢れかえってしまう可能性があります。

Q3.雨がひどいが、土砂災害警報が出されていない。このまま夜に向けて強い雨が続く可能性が高い場合はどうする?
警報がでていなくても、避難が夜になる可能性がある場合や、高齢者・障がい者が身近にいる場合は安全になところに早めに避難しましょう。

また、夜までずっと雨が続く場合は特に危険です。

Q4.避難の際に、冠水している道路を移動しなくてはならない。どんな格好で、何に気をつけて移動するのが良いか?
長靴は水が入ってきて脱げる可能性が高いので、運動靴をはくようにしましょう。傘や棒などを持って、足元にマンホールなどの穴がないか確認して徒歩で移動するようにしましょう。

車はマフラーに水が入ると動けなくなるので極力避難の際には使わないようにしましょう。

参考:東京防災

05. まとめ

今回は、最近増加している水害に備えて、家庭でできる大雨や洪水対策をまとめました。

近年は気象情報の精度の向上などに伴って、水害はあらかじめ予測できるものとなりました。

しかしあらかじめ予測できたからといって、正しい知識や、正しい準備をしておかないと、守れた命も守れなくなります。

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