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最終更新日:2022/09/03 (公開日:2018/09/05)

神奈川県で気をつけるべき災害とは 神奈川県における災害の特徴と対策方法

地震、津波、台風、土砂災害…。「災害大国」ともいわれる日本列島では、いつどこで災害に遭遇してもおかしくありません。

災害への備えは、地域ごとの地理的特徴と社会特性を知り、災害の種類ごとにどんな影響がおきるのかを正確に把握するところからスタートします。

ここでは、神奈川県における地震・津波災害、風水害、土砂災害の特徴を整理し、それぞれの災害についての対策のポイントを紹介します。

神奈川県で想定される地震・津波災害

地震災害には、陸域の浅いところで活断層が活動することにより発生する直下型の地震と、海域のプレートが跳ね上がって発生する海溝型の地震とがあります。

神奈川県に影響する直下型地震と海溝型地震について、発生のしやすさと起こりうる被害想定についてみていきましょう。

神奈川県における直下型地震

神奈川県における直下型地震では、県東部から中部にかけて影響する都心南部直下地震(Mw7.3)、県東部とくに横浜市・横須賀市沿岸に影響をおよぼす三浦半島断層群の地震(Mw7.0)、小田原市周辺に影響する神奈川西部地震(Mw6.7)が想定されています。

このなかで、もっとも広い範囲で影響をおよぼす直下型地震は都心南部直下地震と想定されています。

ただ、断層が確認されていないところでも地震は発生します。県内のいつどこで地震がきてもおかしくありませんので注意が必要です。

震度分布(揺れやすさ)

県東部から中部の広い範囲に大きな影響をあたえる都心南部直下地震の揺れやすさを表す震度分布図は以下のとおりです。

神奈川市など市街地で最大震度6強、県中央部のかなりの部分が震度6弱以上の強い揺れに見舞われると想定されています。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

液状化

大きな揺れにより地盤が液状化を起こすと、水道管やガス管などの地中のパイプが破損する被害が発生します。

下の図は、都心南部直下地震の液状化の起こりやすさを表した液状化危険度分布図です。横浜市、川崎市の海岸沿いと鶴見川の流域の広い範囲で危険度が高くなっています。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

 

 

津波の最大水位

都心南部直下地震が発生した場合、県内では最大でも1mの水位が想定されますが、被害は発生しない見込みです。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

建物倒壊、地震火災被害

直下型の地震は比較的浅いところで発生するため、マグニチュードは小さめでも大きな揺れになり、建物倒壊などの危険も大きくなります。

都心南部直下地震では、県東部を中心に、全県で全壊棟数が約6.5万棟、半壊棟数が約22.1万棟と想定されます。また、崩れた建物から出火し、広範囲で大規模な火災が起きると予測されています。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

 

人的被害

建物の倒壊や火災、斜面崩壊などにより、おおぜいの死者や負傷者が発生します。

都心南部直下地震では、横浜市、川崎市、相模原市を中心に、死者数が3000人近く、負傷者が2万7000人以上発生すると予測されています。

また、自力脱出困難者は6000人近く、避難者数はピーク時には130万人近くになると想定されています。

インフラ被害

大きな揺れにより、地中に埋められた管渠が損傷し、上下水道、電力、通信、都市ガスなどのインフラ施設にも大きな被害が発生します。

また、高速道路などの道路被害、鉄道被害、港などの公共施設の被害も想定され、移動手段にも支障が出ます。

都心南部直下地震では、以下のような大規模なライフライン停止が予測されています。

l 停電:約424万軒

l 断水:約208万人

l 下水道支障:約40.7万人

l 都市ガス:約41.6万戸

l 情報通信:約328.8万回線

その他、エレベーター停止による閉じ込め被害が1万件以上発生し、帰宅困難者は市街地を中心に県内全体で約61万人発生する可能性があります。

神奈川県における海溝型地震

神奈川県では多くの海溝型地震を想定しています。

l 東海地震(Mw8.0):震源域は駿河トラフ。県の地域防災計画の対策が位置づけられており、県内の西半分の市町が「大規模地震対策特別措置法」の地震防災対策強化地域に指定されている。

l 南海トラフ巨大地震(Mw9.0):あらゆる可能性を考慮した南海トラフの最大クラスの地震。県の一部の市町村が「南海トラフ地震に係る地震対策の推進に関する特別措置法」の地震対策推進地域に指定されている。

l 大正型関東地震(Mw8.2):震源域は相模トラフ。1923年の大正関東地震を再現した地震。

この中で神奈川県にもっとも大きな影響をあたえる地震は、大正型関東地震と想定されています。

そのほかにも被害の参考になる地震として、元禄型関東地震(Mw8.5)、相模トラフ沿いの最大クラスの地震(Mw8.7)、慶長型地震(Mw8.5)、明応型地震(Mw8.4)、元禄型関東地震と国府津-松田断層帯の連動地震(Mw8.3)の6つの地震について、県では参考値を想定しています。

震度分布(揺れやすさ)

大正型関東地震では、県の西北のごく一部を除き、ほぼ県全域で震度6強以上の強い揺れとなります。

揺れやすさを表す震度分布図は以下のとおりです。

川崎市、横浜市から湘南地域、県央地域、県西地域にかけて震度7と想定されています。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

 

液状化

大正型関東地震の液状化の起こりやすさを表した液状化危険度分布図です。県全域の海岸沿いと河川の流域で危険度が高くなっています。

 

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

津波の最大水位

大正型関東地震では、駿河湾内で6~10m(到達時間5~10分)、東京湾内で2~4m(25~45分)と想定されています。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

建物倒壊、地震火災被害

大正型関東地震では、県東部を中心に、全県で全壊棟数が約39.3万棟、半壊棟数が約41万棟と想定されます。また、火災は1600件近くにのぼり、全体で約17万棟が焼失すると予測されています。

神奈川県 地震被害想定調査報告書概要版 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f5151/documents/769596.pdf

人的被害

大正型関東地震では、横浜市、川崎市、横須賀市、平塚市、藤沢市、小田原市、秦野市を中心に、死者数が3.2万人近く、負傷者が19万人近く発生すると予測されています。

また、自力脱出困難者は6.5万人近く、避難者数はピーク時には374.5万人と、全人口の41.4%にのぼると想定されています。

インフラ被害

大正型関東地震では、以下のような大規模なライフライン停止が予測されています。

l 停電:約458.7万軒

l 断水:約538.2万人

l 下水道支障:約79.2万人

l 都市ガス:約197.2万戸

l 情報通信:約344.7万回線

その他、帰宅困難者は市街地を中心に県内全体で約61万人発生し、長期化する可能性があります。

映像によるシミュレーション

神奈川県では、津波災害のシミュレーション動画を公表しています。平常時から確認し、イメージしておきましょう。

神奈川県 映像で災害を体験しよう!(津波編)
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/saigai_movie.html

神奈川県における風水害

 

神奈川県で気をつけなければならない災害は、地震だけではありません。過去には、台風や大雨による風水害も、大規模な被害が発生しています。

 

台風被害

台風は、7月から9月を中心に接近したり上陸したりするものが多く、神奈川県でも毎年のように台風の襲来に見舞われます。

台風が来ると、暴風や浸水、高潮や高波などで大きな被害が発生する場合があります。平成に入ってからだけでも、次のような大きな被害がありました。

l 2010(平成22)年 台風6号:負傷者3名、半壊・一部破損5棟、床上・床下浸水333棟、山・がけ崩れ80箇所など

l 2009(平成21)年 台風18号:負傷者17名、半壊・一部破損53棟、床上・床下浸水111棟、山・がけ崩れ14箇所など

l 2007(平成19)年 台風9号:行方不明2名、負傷者14名、半壊・一部破損55棟、床上・床下浸水107棟、山・がけ崩れ9箇所など

l 2004(平成16)年 前線・台風22号:死者1名、負傷者43名、全壊3棟、半壊991棟、床上・床下浸水2374棟、道路損壊91箇所、鉄道被害6箇所、山崩れ・地すべり185箇所など

l 2002(平成14)年 台風21号:死者2名、負傷者10名、床上・床下浸水168棟

集中豪雨、大雨被害

梅雨前線や秋雨前線の影響による大雨被害も多くなっています。近年だけでも、次のような大雨災害が次々と発生しています。

  • 2010(平成22)年 寒冷前線:半壊・一部損壊236棟、床上・床下浸水238棟、がけ崩れ12箇所など
  • 2008(平成20)年 寒冷前線:負傷者7名、半壊・一部破損79棟など
  • 2008(平成20)年 停滞前線:負傷者1名、半壊・一部破損4棟、床上・床下浸水137棟、がけ崩れ43箇所など

神奈川県では、風水害の危険性やいざというときの備えについてのシミュレーション動画を公開しています。防災情報の警戒レベルの話なども入っていますので、災害が起きる前に確認しておきましょう。

神奈川県 映像で災害を体験しよう!(風水害編)

 

神奈川県における土砂災害

毎年発生する自然災害の中で、死者や行方不明者が発生する割合がもっとも高いのは、実は土砂災害です。

阪神・淡路大震災と東日本大震災の特異ケースを除けば、自然災害による死者・行方不明者のうち4割を土砂災害が占めています。

 

土砂災害には、がけ崩れ、土石流、地すべりがあり、神奈川県でも、地震や大雨などにより多くの土砂災害が発生しています。

県では、土砂災害が発生するおそれのある区域を調査し、「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」として発表しています。

l 警戒区域:土砂災害が発生する恐れのある区域(イエローゾーン)

l 特別警戒区域:警戒区域の中で、建物倒壊など住民に著しい被害が発生する恐れのある区域(レッドゾーン)

レッドゾーンのなかにある建物は、土砂災害に対する耐性を強くするため、建て替え時などに構造を強化する必要があるとされています。

 

神奈川県における火山災害

神奈川県には、お正月の箱根駅伝で有名な箱根山(大涌谷)火山があります。

箱根山は活火山のため、爆発・噴火による被害の可能性があります。


県では、火山災害の危険性やいざというときの備えについてのシミュレーション動画を作成しています。あらかじめイメージしておきましょう。

神奈川県 映像で災害を体験しよう!(火山編)

 

 

神奈川県における防災対策のポイント

地震・津波への備え

地震・津波は突然発生し、破壊力が非常に大きいため、何をおいても命を守るための対策をたてておくようにしましょう。代表的なのは揺れを抑える対策です。自治体によって耐震診断などに助成金を出している場合もあるので、問い合わせてみて積極的に活用しましょう。

l 耐震補強:壁や屋根、天井、照明器具など

l 家具や家電製品の固定、棚の中身の飛び出し対策、ガラス飛散防止対策

また、大規模な地震の場合はどんなに備えていても必ず被害が発生すると覚悟して、長期間の被災生活を想定した備えをしておくことも重要です。

l 停電対策:バッテリーや蓄電器、簡易発電機などの準備

l 断水対策:飲水や生活用水の確保

l 下水対策:下水道損傷に備えた簡易トイレの確保

l 備蓄対策:食料、生活必需品の備蓄

l 避難対策:津波や大規模火災時の避難場所、避難方法の確認、非常持出品の整理

特に津波からの避難は一刻を争います。ふだんから避難ビルや津波避難タワーなど、津波から逃れるための場所を確認し、いざというときにすばやく逃げることができるよう、避難訓練にも参加しておきましょう。

風水害への備え

風水害の場合は、気象庁からあらかじめ予報が出されるため、できるだけ早く正確な情報をつかんで、災害が発生する前に避難できるようにすることがもっとも重要なポイントとなります。

ふだんから気象関係のアプリやホームページにアクセスして、どんな情報がどこにあるか、どのくらいの状態になったら避難などの対応が必要かなど、気象情報を正しく読み取れるようになっておきましょう。

土砂災害への備え

土砂災害は前触れなく発生します。大雨で地盤が緩んでいるときに起きやすいですが、はっきりとした兆候がみつけにくいことも多いため、崩れることに気づいてからでは助かりません。

土砂災害の場合は、土地の危険性についてあらかじめ知っておくことがもっとも重要なポイントになります。

土砂災害の危険性については、自治体が発表している土砂災害危険度情報(土砂災害ハザードマップなど)が参考になります。ホームページで公開されていますので、あらかじめ確認しておきましょう。

また、大雨のときには、気象庁と都道府県から土砂災害警戒情報や土砂災害に関する避難情報も発表されますので、該当する地域にいる場合はできるだけ早く避難してください。

 

気象庁 土砂災害警戒情報・大雨警報(土砂災害)の危険度分布についての解説ページ https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html

 

 

火山への備え

県では、箱根山(大涌谷)に関する火山活動の状況を監視し、ホームページで公表しています。

箱根・大涌谷情報:http://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/cnt/f532566/

 

日頃から最新情報をあつめ、以下の警戒レベルの状況にあわせた行動をとるようにしましょう。避難に関しては地震災害を参考にしてください。

l 警戒レベル5(避難):居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態(避難が必要)

l 警戒レベル4(避難準備):居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想(居住地域避難準備/自主避難、災害時要援護者避難あり)

l 警戒レベル3(入山規制):居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予想)防災対応の範囲を拡大/火口から4km以内登山禁止)

l 警戒レベル2(火口周辺規制):河口付近に影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予想(火口から2km以内立入禁止)

l 警戒レベル1(活火山であることに留意):火山は静穏。火山活動状態により、火口内で火山灰の噴出等が見られる(河口付近500m以内立入禁止/火山活動の状況により緩和も検討)

 

まとめ

災害はいつどこで発生するかわかりませんが、むやみやたらと恐れて根拠のない都市伝説に引っかからないようにしましょう。

一人ひとりが災害に対する正しい知識を身につけ、「きちんと怖がる」ことが、災害と向き合う第一歩です。

「まさか自分が」とならないよう、良質な情報を集め、できることから備える行動を起こしましょう。