最終更新日:2023/11/01 (公開日:2022/10/28)
実はいらなかった防災グッズランキング!被災者の実体験 選ぶポイント
「防災対策をしたいけど、何を用意をしたらいいのか分からない」
「ネットで検索したけど、防災グッズリストが多すぎてどれを選べばいいのかわからない」
「防災グッズリストを作って、全部買ってみたけど防災セットが重すぎた」
この記事は、そんな不安や悩みを抱えているあなたへ向けて書いています。
実際に被災地でのボランティア活動の経験などがある筆者が、防災グッズ選びのポイントや被災された方のエピソードを交えてまとめています。
被災経験をもつ方々の実体験など他のメディアでは書いていないようなことも記載しています。
あなたのもしもに、ちゃんと役に立つ防災グッズを準備する一助となれば幸いです。
目次
そもそも防災グッズの準備って?
いざ、防災グッズを準備しようとしても、
「何から準備したらいいのかわからない」
「とりあえず市販の防災セットを買っておけば大丈夫そうだけど…」
そんな方のために、ここからは基本的な防災グッズの準備についてまとめています。
・防災グッズのリストをつくろう
防災グッズを準備するときに、作成していただきたい大活躍アイテムが「防災グッズリスト」です。
基本的に防災グッズリストは、下記の4パターンごとに作成します。
- いつでも持ち歩ける携帯用防災セット
- 発災時に持ち出す用の防災セット
- 避難所生活で使用する防災セット
- 自宅などで在宅避難で使用する防災セット
上記の「想定シーン」「想定する災害」「使用する人」によって、防災グッズリストの中身は変わります。
例えば、地震が起きた直後に持って逃げる防災グッズと地震が起きた数週間後に自宅避難で必要な防災グッズが、異なることは想像できるのではないでしょうか?
だからこそ、防災グッズリストを作成するときは、上記の条件を考慮して作成したほうが望ましいでしょう。
あなただけの防災グッズリストが、1分くらいの無料質問に答えるだけで、わかる便利なサービスもあるので、使ってみてください。
パーソナル防災サービス「PASOBO」> https://pasobo.jp/
・最強の防災対策とは?
そもそも、防災対策と言っても「避難経路の確認」「地震時の連絡の取り方」「保険関係の見直し」などなど、多岐にわたります。
「手っ取り早く実行できて、使える防災対策を教えてほしい」
「防災グッズを準備したり、保険見直したり、そんなにお金がない」
結果から述べると、一番良い防災対策はあなたの日常生活の中に防災を取り入れることです。
豪雪地帯の生活を知らない人たちは、私たちが雪に埋もれて孤立し、食べるものに困ったりすることがあるのではないかと思うかもしれません。
(中略)
それに、雪国の家庭は米をたくさん常備しています。大根、じゃがいも、白菜、かぼちゃなどの野菜類は多くの家庭が自分の畑で作っており、雪室で保管しています。雪室の野菜は、収穫したてよりもみずみずしいのが特徴。みそや漬物もいつでもあります。だからいつでもおいしい食事ができる。保存食に頼ったという経験も、覚えている限りありません。改めて考えると、私たちのふだんの生活自体が、食料に困らない仕組みになっているのだと思います。意識はしなくても、日常生活そのものが、大雪による災害対策になっているのかもしれません。
(引用:内閣府 1日前プロジェクト>雪室の野菜でおいしい食事~日常生活がそのまま大雪対策~)
雪害と地震、水害だと、違う点もあるかもしれません。しかし、エピソードの方のように防災という非日常と日常を切り離して考え行動するのではなく、日常の中に馴染む防災こそが、最良の防災対策のひとつなのかもしれません。
いらなかった防災グッズランキング
ここからは、よくある防災グッズリストには書いてあるけど、あまり使い道がない防災グッズをご紹介します。
いらない防災グッズではありますが、季節が合わなかったり、起きた災害に適さなかったりする場合もあります。
一概に、いらないと判断するのではなくあなたが、作成する防災グッズリストの参考にしてください。
・コンパス(方位磁石)
小学生の理科の授業で使ったのが、最後という方も多いのではないでしょうか。
コンパスを使用して避難所などに向かうことを想定しているのかもしれませんが、自宅や職場近くの場合は土地勘があるでしょうし、土地勘がない場所でコンパスを使うとなると、地図が必須です。
iPhoneをお持ちの方は、標準アプリにコンパスが入っていて、標準アプリのコンパスは、ネットが使えなくても使用できます。
コンパスはスマホで代替できるため、事前にオフラインでも使用できるマップアプリをダウンロードしたり、モバイルバッテリーを準備したり、災害時に無料で使用できる00000JAPANなどのWi-Fiサービスを覚えておく、などしておくといいでしょう。
00000JAPANに関する詳細は、総務省の下記リンクからご覧ください。
・ナイフ
キャンプなどアウトドア好きな方の中には、ナイフをお持ちの方が多いかもしれません。
包丁の代わりになったり、ちょっとした何かを切ったりする時に便利です。
しかし、防災グッズとして、ナイフはおすすめできません。
なぜなら、包丁とは違って普段使い慣れていない方も多いからです。
それに、子供も扱いづらいです。
ロープやブルーシートなど何かを切りたい時は、ハサミやカッターの方が利便性がいいです。
ナイフは折れたり欠けたりすると使えませんが、カッターなら替え刃があります。
カッターなら普段使う機会もあるため、ナイフより多くの方が使いやすいでしょう。
もしナイフがいいという方がいらっしゃったら、缶切り/栓抜き/ハサミ/ドライバーなどがついている万能ナイフの方が役に立つでしょう。
また、ナイフの場合サイズによっては、銃刀法違反になるため要注意です。
避難所に行く際は、缶詰やレトルト食品など、包丁やナイフなどを使わないで調理できる食事を持っていくようにしましょう。
・新聞紙
寒さをしのぐために使ったり、濡れた靴を乾かしたりすることに使用する想定で考えているかもしれません。
しかし、寒さをしのぐために新聞紙を使うとすると、かなりの量が必要になります。
自宅避難ならまだしも、避難所など外部に避難する場合、重かったりかさばったりと、邪魔になってしまうでしょう。
そのため、携帯用の防寒具なら、防寒アルミシートがおすすめです。
防寒なら毛布のほうが良いのでは?と考える方もいらっしゃると思います。
毛布だとかさばって、運搬が困難な場合があります。
その点、アルミシートだとポケットサイズに畳むことができるため、コンパクトで携帯性に優れています。
さらに、新聞や毛布と違いアルミシートの場合、防風効果も期待できます。
防災グッズとして、わざわざ新聞紙を備えられるよりかは、携帯用にアルミシート、自宅避難用に毛布など使用用途を、防災グッズリストを作成するときに、決めておきましょう。
経験者談!被災時に使うことが出来なかった防災グッズ体験談
いらなかった防災グッズといっても、いるモノ、いらないモノって人それぞれです。
ここからは、内閣府が取りまとめている実際に被災された方のエピソードを中心に、使うことが出来なかった防災グッズのエピソードをまとめました。
え、それ使えないの?と思うような防災グッズもありますが、読み進めるとご納得していただけるでしょう。
・ラジオ
80代男性資料館の館長
有珠山の2度の噴火に立ち会ってる私は、変に地震慣れしていて、寝 ていてもP波※を感じる体質なのです。「あ、何か起きるぞ」と目を覚ま すと、S波※がドンときて、音もなく、ゆさゆさと揺れました。有珠山の 火山性の地震なら、P波もS波もなく、足元からドカンと来るので、そう ではないとすぐ気づきました。
被害の実態が分かる前に停電して、携帯ラジオを取り出し たのですが、入れっぱなしにしていた電池が腐食していて、スイッチを 入れても機能せず使えませんでした。うかつでした。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>令和4年3月エピソード集>電池の腐食でラジオ使えずに情報収集できず)
災害時には、スマホや携帯が使えないこともあります。
そんな時に役立つアイテムが、ラジオです。
しかし上記のエピソードの方のように、ラジオの充電タイプには注意が必要です。
最近のラジオには、3way(手回し、ソーラー充電、ACアダプター充電)の充電が可能なラジオも販売されています。乾電池タイプの場合は、乾電池を取り外した状態で保存しておくようにしましょう。購入を検討される際には、管理のしやすさなども踏まえて商品を比較してください。
・スリッパ
輪島市 60代 女性
私の家は「一部損壊」でしたが、うちの中はそこら中の物が倒れて、足の踏み場も ないほどでした。 台所の食器棚は扉が開き、中の茶わんやコップがほとんど下に落ちて、床の上に 踏み場もないほど散乱していました。 よく「防災グッズとしてスリッパを用意したほうがいい」なんて言いますけれども、ああいう時は、実際、スリッパなんて、とてもじゃないけど使いものになりませんね。カンタンにはぬげない、底の厚いしっかりした靴をはかないと足を切って しまいそうだったから、家族みんなで家の中でも長靴やズックをはいていました。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>平成22年3月エピソード集>スリッパではあぶない家の中~部屋の中は、どこもワレモノだらけに~)
今回のエピソードでは、地震に被災直後のご自宅という場合です。
状況によっては、全く使えないことがあるという教訓になるエピソードです。
このようなガラスなどが散乱した自宅の片付けの状況では、全く使えなかったスリッパですが、避難所での避難生活の時だと、活躍することは多いです。
避難所は、小中学校の体育館や地域のコミュニティセンターなどフローリングの床が多いため、特に冬場などはとても冷えます。
このエピソードを読んで、「スリッパ、いらない」と判断するのではなく、あなたが避難所に避難する計画なのであれば、ぜひ用意するようにしてください。
・固定電話
70代 男性 元住民自治協議会会長
全ての安否確認が終わったのが10月19日で、6日間もかかりました。安否確認に一番時間がかかったのは、川の下流で水が2m近く入ってしまった地区でした。緊急連絡網はあったのですが、固定電話の番号で登録されているものが多く、浸水によって固定電話は機能しなくなったため、連絡が取れなくなったことが原因でした。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>浸水時、機能しなくなった固定電話)
会社や学校、施設など、緊急連絡用の電話番号に自宅の固定電話を登録している人は多いかと思います。
固定回線の電話は水没や断線などで故障してしまうと復旧するまでに時間がかかるため、大切な電話連絡などは携帯電話に登録することをおすすめします。
固定電話も使えない、携帯もスマホも使えない状況で、なんとか安否だけでも、遠方にいる家族に伝えたいという時は、災害用伝言ダイヤルをおすすめします。
公衆電話からでも利用することができて、災害時に無料で、家族に伝言が残せるサービスです。
災害時伝言ダイヤルの使い方やその他の連絡方法などは次の記事をご確認ください。
【総合版】被災者に聞いた無くて困った防災グッズ3選
ここまで読まれた方は、
「いらなかった防災グッズはいいから、必要だった、なくて困った防災グッズを教えてほしい」
という方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでここからは、地震や水害、雪害などさまざまなエピソードを交えながら、なくて困った防災グッズをご紹介していきます。
また、特に女性にとって困るモノや高齢者、子供にとって困るモノをまとめています。
順番に読み進めなくても、気になったところだけでも読んでください。
・食糧(水含む)
仙台市宮城野区 30代 男性 会社員
一人暮らしの寮住まいのため、普段は自炊を全くせず、毎日の食事は外食とコンビニで冷蔵庫の中はカラ状態が当たり前でした。
田舎の両親に物資の発送をお願いしようとしましたが、震災発生直後は、宅配便も動かなかったため支援物資も届かず、スーパーもコンビニもダメ・・・。大変な思いをしました。
今回の震災で食料の大切さを感じました。
もし一日前に戻れるなら、缶詰等の食料を買っていたと思います。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>備えのない一人暮らしを反省)
この30代の会社員の方と同じような暮らし方をされている人は多いのではないでしょうか。
1人暮らしだからなんとかなると思っていると大間違いです。
たとえ、1人くらいだとしても食糧を油断しないで備えることが大事です。
輪島市 60代 女性
今年は、何を思ったかしらんけど、焼酎の入っているビン10本と、大きい2リットルのペットボトル20本に、井戸のカンミズ ※ をくんでとっておいたんです。 あれにはほんとうに助かりましたね。地震で水が止まっている間、洗いものに使ったり、飲み水にしたり、少しずつ大事に使いました。おかげで水道が来るまでどうにかつながりました。 災害時に困るのはやっぱり水ですよね。水道の水をくみ置きしておくと腐るけど、カンミズなら割と長くもつんです。カンミズでお餅をつくとカビが出ないなんて言われますから。
※カンミズ(寒水)とは、寒い冬の間の水のこと。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>何でか知らんけど、水汲んどった)
こちらエピソードからは、水の大切さが伝わってきませんか。
水と言っても、「飲み水」「洗濯など洗い物に使う水」「トイレに使う水」などさまざまです。
この水は飲み水。風呂に溜める水は、生活用水。などと、用途を決めて準備をしておくと、いざという時に焦らずに対応できるでしょう。
・下着
新地町 70代 女性 農業
家はすべて津波に流されました。その後2か月は避難所生活でしたが、避難したころ、一番困ったのは着替えがないこと。特に下着は深刻で、5日間おふろに入れずとても不快な思いをしました。寒い季節だったからよかったけれど、あれが汗をかく季節だったらどうなっていたことかと思います。震災5日目になって、義姉の家でおふろに入れてもらおうと思えたのは、下着が支給されたからです。きれいな下着なしではおふろに入る気にもなれません。今では、いざというときの避難用のリュックを玄関に用意していますが、その中にはきれいな下着が1組、しっかりと入っています。「非常用持ち出し袋には下着1組を」。これが震災の教訓です。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>震災以来、避難用リュックに下着常備 )
防災グッズを準備していると意外に盲点になるのが、衣服です。
「普段着ているから、もしもの時にパッと入れたらいいや」と考える方もいるみたいです。
しかし、非常時にパッと衣服を非常持ち出し袋に入れられる方は少ないでしょう。
そのため、事前にもうあまり使わなくなった下着など数点入れておき、四半期に一回、衣替えの時などに見直すといいでしょう。
・職場用防災セット
仙台市泉区 30代 女性
会社員平日の日中に発生したため、職場や家にいる家族との連絡がなかなかつかず不安な気持ちになったのが一番最初に思ったことでした。今回の震災を経験して一番思うことは、備えておいて困ることはないということです。普段、疎かにしがちなことですが、いざというときに本当に困るのは自分です。自宅だけではなく、職場にもある程度の備えが必要だとも感じました。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>自宅も職場も普段の備えが必要だと実感)
社会人の方だと、家より会社にいる方が長い方が多いですよね。
コロナ禍になり、リモートワークの普及で以前よりかは在宅する時間が増えた方が多いかもしれません。
だからこそ、余計に職場で被災した場合のことを考慮していたほうがいいでしょう。
コロナ禍以前なら、毎日のように出社していてモノを置いて帰ることや周辺のお店にも詳しかったでしょう。
しかし、リモートワークが増えたり、自分のデスクがない会社なども増えたり、したことにより会社に自分のスペースが減っているのではないでしょうか。
これを機に、職場にももしものセットを置くことをご検討ください。
【女性版】被災者に聞いた無くて困った防災グッズ3選
・衛生/生理用品
諏訪市 20代 女性
防災袋というと、例えば水とか、トイレで使うものとかを思い浮かべますが、そういうものの中には、避難所に行けば支給されるものもあって、意外にタオルとかハブラシがほしかったなと思います。お金はいったん避難してしまえばそこから出られないので、すぐに使うことはありませんでした。 でも、ハブラシって、ないとすごくストレスになるんですよね。会社の同僚にも、ハブラシを買い忘れて、近くのお店まで戻ったおかげで、水がついた道路の渋滞にはまってしまって、帰ってくるのに1時間かかった人がいましたよ。 通常あることがあたりまえなものは、ちょっとしたものでも、ないとすごく不自由を感じるものですね。避難する時に、自分の場合は何が絶対必要なんだろうと、考えておいたほうがいいなと思いました。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>ないと不自由だったハブラシ)
こちらの女性がおっしゃているように、普段当たり前のように使っているものが使えない時が、災害時です。
ただでさえ、強いストレスがかかる非日常に備えて、少しでもストレスを軽減できるようにしたいですよね。
だからこそ、自分にとって非日常でも必要なもの、不必要なものをしっかり考慮して防災グッズリストを考えてください。
・防犯グッズ
避難所での性暴力が問題になっています。
また、被災後の誰もいない家への空き巣も問題視されています。
被災という大きなダメージを負ったにも関わらず、ここぞとばかりに犯罪を犯すヒトもいるのです。
被災地では、電気が通っていなかったり、断線したりしていて、歩き慣れた場所でも真っ暗なことがあります。
そんな時に、心ない犯罪者の方に出会ったり、襲われそうになったりしたら、叫び声を上げるなどと学校で習ったかもしれません。
しかし、恐怖に体がすくんで声が出なかったという話もよく聞きますよね。
そのような場合に、大活躍するアイテムが防犯ブザーや防災笛です。
また、笛やブザーは地震で生き埋めになってしまった時や道路が塞がれてしまった時など居場所を伝えることにも使えます。
災害時だけでなく、日頃の防犯にも役立つので、購入を検討してみてください。
・防寒具
仙台市宮城野区 30代 男性 会社員
地震が起きたのは、出産を控えた妻を産婦人科医院に迎えに行ったちょうどその時でした。病院内にはたくさんの妊婦さんがいらっしゃったのですが、看護師さんたちの冷静で的確な指示もあり、母体に悪影響を及ぼさないように細心の気配りをしていただきながら、病院の毛布を持参して外に避難したのです。その後、雪となったので、毛布一枚の暖かさやありがたさを文字通り肌身で実感しました。その後、車で通常30分の道を2時間かけて自宅マンションに戻りましたが、エレベーターが止まっていたので、階段で5階にある部屋まで上がりました。案の定、家財が玄関にまで散乱していて、足を踏み入れることができませんでした。結果的にその夜は、車中で過ごすことになったのですが、これが身重の妻にとっては辛かったようでした。今回の経験を機に、さらに”災害時には何が必要なのか”を見極めつつ、必要な備えは十分に、不必要なものは少なくという暮らし方を、あらためて強く意識するようになりました。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>病院の毛布一枚のありがたさを実感)
一般的に女性は冷え症の方が多いと言われており、特に妊婦の方は、お体を冷やすことは厳禁です。
夏でも夜や早朝は冷え込む地域はありますので防寒着は必須です。
自分が被災した時の動きを、イメージして必要なものをしっかり判断しながら防災グッズリストを作りましょう。
【子供版】被災者に聞いた無くて困った防災グッズ3選
家族に子供がいる方は、特に注意して準備が必要です。
子供の防災グッズを準備をするときに忘れてはいけないものを、実際のエピソードを踏まえつつなぜ必要なのかをお伝えできれば幸いです。
・連絡手段
柏崎市 40代 女性
3連休で、離れて住んでいる大学生の子どもも帰ってきて、みんながちょうどうちにいたんですよ。で、午前10時すぎにちょっと遅めの朝ご飯を食べた後に、いきなり揺れだしたのです。
当時、携帯電話とかは全然つながらなかったので、うちはたまたまみんないたからよかったけれど、家族と離れている人は連絡を取り合うのに大変だっただろうと思います。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>何かの下に隠れる余裕もなかった)
小中学生だと、日中は学校にいる可能性が高いです。
高校生や大学生にもなると、親元を離れて1人暮らしをしている方も多くなります。
そんな時に、もし被災してスマホや携帯が使えないとなったら、どうやって連絡をとりますか?
合流するとなった場合、合流できますか?
本記事でもすでに記載していますが、そんな時に役立つものが、公衆電話の災害用伝言ダイヤルです。
災害時に無料で、家族に伝言が残せるサービスです。
災害用伝言ダイヤルの使い方やその他の連絡方法などは次の記事をご確認ください。
・遊び道具
70代 女性 ボランティア
私は拠点型子育て支援施設を運営しています。被災後、職場に来て最初に思ったのは「今、子ども達はどうしているんだろう」ということでした。避難所の中に子ども達が安心して過ごせる居場所があれば、保護者の方も自宅の片付け作業に専念できるのではと思い、避難所に入って子どもの一時預かり等の支援をすることにしました。子ども同士で、「僕、ランドセル流しちゃった」、「そうか、僕は2階に上げておいて良かったよ」、「うちは車の中で生活しているんだ」とか話しているのを聞きながら、私達スタッフはそれに対して質問したりせずに、「そうだったんだね」と心の中で思いながら対応していきました。避難所が閉鎖されてからも、公民館などでの一時預かりを継続したほか、親は家を再建するのに一生懸命で子ども達を遊びに連れて出られなかったりするので、夏は山に行ったり、冬は善光寺の宿坊に泊まったりといったリフレッシュプログラムを実施しました。保護者の方からは、「子どもは雨が降ると、とても怖がっています」というような話と共に、「避難所での生活が楽しかったと言っていますよ」という声をいただきました。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>避難所の中に子ども達の居場所をつくる)
盲点になりやすいところが、遊び道具です。
避難所だと、大人の場合は役割が回ってきたり仕事に行ったりすることがあるかもしれません。
しかし、小学校中学年以下の子供だと、そのような役目もあまりなく何もやることがないということになります。
子どもは、何が起きているのかがわからず、強い恐怖や不安を感じやすくなりますので、子どものストレスを和らげるものを用意しておくことをおすすめします。
自宅避難ができる場合は、まだいいかもしれませんが、避難所の避難用にトランプ一つでもあるといいかもしれません。
・非常食
仙台市青葉区 40代 男性 会社役員
事務所でデスクワーク中、「地震だなー」と軽く思った次の瞬間にはこれまで体感したことのない信じられない揺れに・・・。
8階の部屋は玄関にひび割れ、部屋の中は食器棚からテレビ、本棚まで、事務所同様にメチャメチャな状態。幸いにも愛犬は無事で、部屋のものには一切触れず、愛犬を連れてすぐに事務所に戻りました。その後は事務所で3日間過ごすことに・・・。
もし一日前に戻れたなら・・・。間違いなく、家電、家具などの壁止め、ストッパーなどの転倒落下防止対策を施し、そして、保存食の在庫状況をチェックしていたでしょう。災害時用ではなく、たまたま直前に買い込んでいたからこそ保存食に余裕があり、それが結果的に功を奏しただけ・・・。災害時を想定し、備えるということを何もしていなかったことに初めて気付かされた今回の震災でした。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>災害対策ゼロの自分に気づかされる)
小学校まで成長している子供ならまだ、大人と同じ非常食を食べられるかもしれません。
赤ちゃんやアレルギー持ちの場合、食べられるものがかなり限られます。
また、電気やガスなどのインフラが使用できない場合も考慮して、非常(アウトドア)用の哺乳瓶セットや、アレルギー対応の保存食やお菓子を準備することをおすすめします。
【高齢者版】被災者に聞いた無くてなくて困った防災グッズ3選
ご高齢になると、若い頃と比べると体力が落ちたり、持病を抱えている方も増えますよね。
必要な薬が増えたり、老眼鏡などのアイテムが必要になったりする方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、ご高齢で被災された方がなくて困ったエピソードを交えて、防災グッズをご紹介していきます。
・入れ歯/入れ歯入れ
杉並区 70代 女性
私はいつも緊急用の物資を地下室に置いています。今回の大雨で、地下室が水浸しになりましたが、幸い上の方の棚においていたので、難を免れました。
一口に非常時に備えると言っても、使う人によって必要なものが異なります。私は、「赤ちゃん・お母さん用」、「お年寄り用」というように区別して箱に入れ、中味が分かるように一覧表を箱の上に貼っています。お年寄り特有のものとしては、入れ歯・入れ歯入れ、いたみ止め、虫めがねなど。赤ちゃん・お母さん用には、おむつ、防災ずきん、ウェットティッシュ等々55種類ぐらいあります。
最初は、確かに大変でしたが、一度揃えてしまえば次の年からは賞味期限のせまっているものは使ってしまい、新しいものに交換すればいいわけです。「何が必要だろう」と考えながら箱につめるのも案外楽しいものですよ。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>非常時に必要なものは、きっちり整理)
こちらの方のように、一度揃えてしまえば、その後は交換するだけでよくなります。
一度に全部一気に揃える必要はありません。
疲れるでしょうし、大変でしょう。
全く備えないよりかは、日頃の生活の延長線上で、少しずつでも準備することが大切です。
・お薬/お薬手帳
輪島市 60代 女性
年寄りの人がたくさんおるでしょう。避難所に行って感じたのは、お年寄りはみんな常にお薬を飲んでいるから、どんなときも自分の薬は肌身はなさず持っていなければいけないなということです。夜中の2時ごろ、おばあさんが避難所のすみでちょこんと座っていたので、わけを聞くと、「リュウマチで痛くて眠られん」と言うのです。で、連絡すると、すぐにお医者さんが看護婦さんと一緒に来てくれたんです。それにはほんとうに頭が下がりましたね。先生が「これを飲んで」と痛み止めの薬を渡していると、それを見て「私にも薬をください」と言う人がいっぱいいました。引き出しに置いていたから、とっさに持ってこられなかったという人が多かったですね。だから、前もって何かに分けておいて、いつでも持って逃げられるようにしておかなければいけないとつくづく思いました。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>薬持ち出せず、避難所で大弱り)
新地町 60代 女性 主婦
地震が起きたとき、すぐに「逃げなければ」と思いました。避難場所は指定されていたので迷いませんでした。それでも、避難するとき私が持っていたのは、いつも使っている小さなバッグだけでした。家を飛び出すときに、なぜか「そうだ! 免許証!」とだけはひらめいて、このバッグと一緒にあわてて持ち出したのですが、ほかのことは何一つ考えられませんでした。本当に着の身着のまま、夢中だったのです。 避難後、家はまるごと津波に流されてしまいましたから、手元にはこのバッグ以外残りませんでした。ただ、この中にお財布、保険証、診察券、おくすり手帳などが入れっぱなしになっていたのが幸いでした。薬自体は持ち出せませんでしたが、後から病院に行って、処方してもらうことができました。保険証や免許証は身分証明書代わりにもなり、後々本当に役に立ちました。大事なものはひとまとめにしておくと、いざというときにさっと持ち出せると思います。 欲を言えば、お財布の中にもう少し多めに現金を入れておけばよかったかも。ただし、いったん逃げたら、お金をとりに家に戻ったりしては絶対にいけません。それで亡くなった人がたくさんいるのですから。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>お財布、保険証、おくすり手帳……いつものバッグが身の助けに)
わざわざ防災グッズを購入しなくても、日頃使っているバッグや財布から常に持ち歩ける防災セットを準備することはハードルが低いのではないでしょうか。
防災対策は、短距離走ではなくマラソンです。
生きている限りずっと一緒に生活の一部としてあります。
だからこそ、一度市販の防災セットを買って終わらせるのではなく、少しずつ自分に必要なグッズが何なのか、リストを作成してください。
・防塵ゴーグル
小林市 70代 男性 写真家
私はその日、公園で運動をしとったんですが、山から噴煙が上がってるのを見て、急いで家に戻り、カメラを持って山が良く見える場所まで車で出かけたんですよ。すでに何人か来ておられたんですが、女性のかたが恐怖で震えておられたのが印象的でした。 それから何度か灰の降る中を運転したんですが、視界が20~30メートルくらいしか無くて危なっかしくてですね。フロントガラスを痛めるのでワイパーも使えないし、フィルターも詰まるし、大変でしたよ。 自宅のほうは、噴石や灰の被害は無かったのですが、今でも天気が良い日は葉っぱについた灰が舞って目が痛いですよ。避難所にはマスクやらがたくさん届けられたけれども、一緒に防塵用(ぼうじんよう)のゴーグルなんかもあったら良かったと思います。
(引用:内閣府 防災情報のページ>広報・啓発活動>1日前プロジェクト>あったら良かった防塵(ぼうじん)ゴーグル)
災害というと、地震や津波、水害を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、住んでいる地域によっては、噴火や雪害など地域特有の災害があります。
だからこそ、自分の住んでいる地域のハザードマップを確認したりして、あなただけの防災グッズリストを作成する必要があります。
まとめ
いかがでしたか?今回は、「いらなかった防災グッズ」についてご紹介しました。
実際に被災された方の、エピソードを知ることによってなぜいらなかったのか、何が必要なのかがわかりやすかったのではないでしょうか。
また、防災グッズリストの作り方に関しては、参考に首相官邸が推奨している防災チェックリストの画像を貼っておきます。
ひとりひとり必要なものは変わってきますので、これについて別記事で解説します。
・女性のための「災害に備えておきたいものリスト」 | SAIGAI JOURNAL(災害ジャーナル)|防災をもっと身近に
株式会社KOKUAでは、一人一人にあった防災セットをご用意いただくためにパーソナル防災サービス「PASOBO」の提供を行っています。詳細については以下のサイトよりご確認ください。
大学時代に災害救援系NPOに在籍し、多数の災害救援活動を経験。卒業後は防災のベンチャー企業でECサイト/オウンドメディアの運用を請け負う。被災地での災害救援活動を行なったり、居住地の防災対策コミュニティに参加し、日々防災と向き合っている。