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最終更新日:2022/09/03 (公開日:2018/09/02)

大阪府で気をつけるべき災害とは 大阪府における災害の特徴と対策方法

地震、津波、台風、土砂災害…。「災害大国」ともいわれる日本列島では、いつどこで災害に遭遇してもおかしくありません。

災害への備えは、地域ごとの地理的特徴と社会特性を知り、災害の種類ごとにどんな影響がおきるのかを正確に把握するところからスタートします。

ここでは、大阪府における地震・津波災害、風水害、土砂災害の特徴を整理し、それぞれの災害についての対策のポイントを紹介します。

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国土交通省近畿地方整備局 大阪北部地震被害状況等

https://www.kkr.mlit.go.jp/bousai/taiou/kinki/h30_1806_01.html

 

大阪府で想定される地震・津波災害

地震災害には、陸域の浅いところで活断層が活動することにより発生する直下型の地震と、海域のプレートが跳ね上がって発生する海溝型の地震とがあります。

大阪府に影響する直下型地震と海溝型地震について、発生のしやすさと起こりうる被害想定についてみていきましょう。

大阪府における直下型地震

大阪府における直下型地震では、上町断層帯地震、生駒断層帯地震、有馬高槻断層帯地震、中央構造線断層帯地震が想定され、そのうち上町断層帯地震がもっとも影響の大きい地震とされています。

そのほかにも、大阪府内には、無数の断層帯があり、府内のいつどこで地震がきてもおかしくありません。

大阪府地震被害想定(平成19年3月)概要版 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31241/00267683/01.pdf

 

 

震度分布(揺れやすさ)

大阪府でもっとも大きな影響をあたえる上町断層帯地震Aの揺れやすさを表す震度分布図は以下のとおりです。

大阪市で最大震度7、府内のかなりの部分が震度6弱以上の強い揺れに見舞われると想定されています。

 

大阪府地震被害想定(平成19年3月)概要版 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31241/00267683/01.pdf

 

 

液状化

大きな揺れにより地盤が液状化を起こすと、水道管やガス管などの地中のパイプが破損する被害が発生します。

下の図は、内陸直下型地震での液状化の起こりやすさを表した液状化危険度分布図です。大阪湾沿岸の広い範囲で危険度が高くなっています。

大阪府地震被害想定(平成19年3月)概要版 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31241/00267683/01.pdf

 

 

建物倒壊、地震火災被害

直下型の地震は比較的浅いところで発生するため、マグニチュードは小さめでも大きな揺れになり、建物倒壊などの危険も大きくなります。

上町断層帯地震では、大阪市を中心に全壊する木造建物が約36万棟、半壊が約33万棟、出火が約870件(3日間)にのぼると想定されています。

大阪府地震被害想定(平成19年3月)概要版 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31241/00267683/01.pdf

 

人的被害

建物の倒壊や火災、斜面崩壊などにより、おおぜいの死者や負傷者が発生します。

上町断層帯地震では、大阪市を中心に、死者数が約1.2万人、負傷者が約11.5万人発生すると予測されています。

また、府内全体での被災者は約266.3万人、避難所生活者は約81.4万人にのぼるとされています。

その他、帰宅困難者は大阪市内で約90万人、大阪府全体で約142万人、近畿の他府県から大阪府に帰宅する人で約36万人発生する可能性があり、大阪府全体では約293万人の徒歩帰宅者であふれかえると想定されています。

インフラ被害

大きな揺れにより、地中に埋められた管渠が損傷し、上下水道、電力、通信、都市ガスなどのインフラ施設にも大きな被害が発生します。

また、高速道路などの道路被害、鉄道被害、港などの公共施設の被害も想定され、移動手段にも支障が出ます。

市民生活への影響がもっとも大きくなるのは警固断層帯断層の地震で、以下のような大規模なライフライン停止が予測されています。

l 停電:約200万軒

l 断水:約545万人

l ガス停止:約293万戸

l 通信障害:約91万回線

大阪府地震被害想定(平成19年3月)概要版 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31241/00267683/01.pdf

 

その他、エレベーター停止による閉じ込め被害が約2.7万台発生すると予測されています。

大阪府における海溝型地震

大阪府にもっとも影響を与える海溝型地震は、西日本の太平洋側一帯で発生する確率が高いとされる南海トラフ地震とされています。

 

津波の高さ、到達時間

海溝型の地震でもっとも顕著となるのは津波による被害です。

南海トラフ地震の場合、最速54分で岬町に津波が到達します。また、最大津波推移は住之江区の5.1mと予測されています。

大阪府 津波浸水想定について(解説) http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/31241/00267389/03_kaisetsu.pdf

 

 

津波はものすごい量の海水が壁のようになり、桁違いの圧力であらゆるものを一気に飲み込んで、まきこまれたガレキと一緒になってすべてを押し流します。2mの津波で木造家屋は完全に破壊されてしまうといわれています。

津波による人的被害、建物被害

南海トラフ地震の場合の被害予測について、大阪府の推計では以下のようになっています。

l 人的被害(死者):夜間 約886.5万人、昼間 約928万人

l 建物被害(全壊):約253万棟

l 停電:約234.2万軒

l 断水:約832万人

l 下水道支障:約32.7万人

l 都市ガス停止:約115.4万戸

l 携帯電話停波:48.5%

l 避難者:約191.5万人

l 帰宅困難者:約146.3万人

l エレベーター閉じ込め:約1.2万台

なお、人的被害については、津波の到達までの時間を活用し避難をしっかりと行えば、被害は抑えられると考えられます。

大阪府における風水害

大阪府で気をつけなければならない災害は地震だけではありません。風水害においても大規模な被害が発生しています。

台風や大雨については、毎年5月ごろから10月ごろまで被害が発生しやすくなっています。平成だけでも次のような風水害による被害がありました。

l 2018(平成30)年台風21号:死者8名、重傷者約4名、全壊1件、一部破損約2800件

l 2018(平成30)年7月豪雨:重傷者2名、家屋全壊1棟、一部損壊9棟、床上・床下32棟など

l 2017(平成29)年台風21号:死者2名、継承者28名、半壊・一部損壊135件、床上・床下浸水68件など

l 2013(平成25)年8月豪雨:床上・床下浸水1,400戸以上

l 2012(平成24)年8月の大雨:床上浸水2,500戸以上、床下浸水17,000戸以上

l
1995(平成7)年7月の豪雨:床上浸水69戸、床下浸水3,660戸以上

 

大阪府 大阪府を襲った主な災害 http://www.pref.osaka.lg.jp/kasenkankyo/boujyo/kakonosaigai.html

 

大阪府における土砂災害

毎年発生する自然災害の中で、死者や行方不明者が発生する割合がもっとも高いのは、実は土砂災害です。

国土交通省近畿地方整備局 防災ヘリ等による被災状況調査 牛滝川(大阪府岸和田市大沢町) https://www.kkr.mlit.go.jp/bousai/taiou/kinki/h29_02_01.html

 

 

阪神・淡路大震災と東日本大震災の特異ケースを除けば、自然災害による死者・行方不明者のうち4割を土砂災害が占めています。

土砂災害には、がけ崩れ、土石流、地すべりがあり、大阪府でも、地震や大雨などにより多くの土砂災害が発生しています。

大阪府では、土砂災害が発生するおそれのある区域を調査し、「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」として発表しています。

l 警戒区域:土砂災害が発生する恐れのある区域(イエローゾーン)

l 特別警戒区域:警戒区域の中で、建物倒壊など住民に著しい被害が発生する恐れのある区域(レッドゾーン)

レッドゾーンのなかにある建物は、土砂災害に対する耐性を強くするため、建て替え時などに構造を強化する必要があるとされています。

大阪府における防災対策のポイント

地震・津波への備え

地震・津波は突然発生し、破壊力が非常に大きいため、何をおいても命を守るための対策をたてておくようにしましょう。代表的なのは揺れを抑える対策です。自治体によって耐震診断などに助成金を出している場合もあるので、問い合わせてみて積極的に活用しましょう。

l 耐震補強:壁や屋根、天井、照明器具など

l 家具や家電製品の固定、棚の中身の飛び出し対策、ガラス飛散防止対策

また、大規模な地震の場合はどんなに備えていても必ず被害が発生すると覚悟して、長期間の被災生活を想定した備えをしておくことも重要です。

l 停電対策:バッテリーや蓄電器、簡易発電機などの準備

l 断水対策:飲水や生活用水の確保

l 下水対策:下水道損傷に備えた簡易トイレの確保

l 備蓄対策:食料、生活必需品の備蓄

l 避難対策:津波や大規模火災時の避難場所、避難方法の確認、非常持出品の整理

特に津波からの避難は一刻を争います。ふだんから避難ビルや津波避難ビルなど、津波から逃れるための場所を確認し、いざというときにすばやく逃げることができるよう、避難訓練にも参加しておきましょう。

風水害への備え

風水害の場合は、気象庁からあらかじめ予報が出されるため、できるだけ早く正確な情報をつかんで、災害が発生する前に避難できるようにすることがもっとも重要なポイントとなります。

ふだんから気象関係のアプリやホームページにアクセスして、どんな情報がどこにあるか、どのくらいの状態になったら避難などの対応が必要かなど、気象情報を正しく読み取れるようになっておきましょう。

土砂災害への備え

土砂災害は前触れなく発生します。大雨で地盤が緩んでいるときに起きやすいですが、はっきりとした兆候がみつけにくいことも多いため、崩れることに気づいてからでは助かりません。

土砂災害の場合は、土地の危険性についてあらかじめ知っておくことがもっとも重要なポイントになります。

土砂災害の危険性については、自治体が発表している土砂災害危険度情報(土砂災害ハザードマップなど)が参考になります。ホームページで公開されていますので、あらかじめ確認しておきましょう。

また、大雨のときには、気象庁と都道府府から土砂災害警戒情報や土砂災害に関する避難情報も発表されますので、該当する地域にいる場合はできるだけ早く避難してください。

 


気象庁 土砂災害警戒情報・大雨警報(土砂災害)の危険度分布についての解説ページ

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html

まとめ

災害はいつどこで発生するかわかりませんが、むやみやたらと恐れて根拠のない都市伝説に引っかからないようにしましょう。

一人ひとりが災害に対する正しい知識を身につけ、「きちんと怖がる」ことが、災害と向き合う第一歩です。

「まさか自分が」とならないよう、良質な情報を集め、できることから備える行動を起こしましょう。

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