広島市の防災対策とは?豪雨災害の被災経験を元にした取り組み

平成30年7月豪雨で大きな被害を受けた広島市。

過去にも豪雨災害があったこの市ではその経験を元に迅速に対応したという。

広島市ロゴ

広島県広島市の市役所。平成30年7月の豪雨災害で大きな被害を受けた。

今回は、広島市危機管理室災害予防課の職員の方に以下の3点についてインタビューしました。

  1. 災害予防課が普段どのようなことをしているのか
  2. 豪雨災害の時に市役所全体として、どのように対応を行なったのか
  3. 被災時に広島市の行なった様々な対応

SAIGAI JOURNAL編集長・津田裕大(以下、津田):初めまして。SAIGAI JOURNALを運営させて頂いている津田と申します。本日は宜しくお願いいたします!

危機管理室災害予防課職員・石川さん(仮名、以下石川):宜しくお願いします。実は前もってSAIGAI JOURNALのサイト見させていただいたんですが、とても見やすいですね。

津田:前もって見ていただいたんですね、嬉しいです。ありがとうございます。そうぞよろしくお願いいたします。

01. 災害予防課とは?その業務内容について

津田:それでは早速…広島市の危機管理室災害予防課というのは、何をされているんですか?

石川:危機管理室の中に3つ課があって、その中の一つが私の所属している災害予防課です。

災害「予防課」という名前ですので、災害の被害を軽減したりなどを事業の中心としています。主に行なっているのは、防災まちづくり事業です。

津田:防災まちづくりですか!

石川:そうなんです。その事業内容の一つとして、地域の防災リーダーの養成をしています。
例えば防災リーダーに防災士の資格を取得してもらうために資金の提供や、資格獲得の後に3年ほど広島市の地域で内容を報告してもらったりなどですね。

町内会の役員さんの業務が防災以外のことで多くなってきているので、このように防災リーダーとして市民の方に防災の資格を獲得してもらっています。

資格を獲得された方には、フォローアップとしてもっと深く防災知識を高めてもらう目的で年に2回講義を実施しています

防災士がワークショップに取り組む様子出典:広島市防災士養成講座について

津田:町内会の負担を減らすために市民の中からリーダーを募るんですね。こういった防災士の資格をとる防災リーダーは有志の方なんですか?

石川:様々ですね。町内会長さんの推薦や、もともと防災に関心がある方が自分で市の方に申し込まれる場合もあります。

基本的に市の方に申し込みがあった場合は、その方の住んでいる地域に合わせて町内会長さんに繋げて、地域で活動してもらうというようにしています。

津田:活躍したい個人と人を必要としている地域を結びつけているんですね。防災リーダーの育成以外には、どのようなことをされているんですか?

石川:一般市民向けには講演会を市の方で開催したり、各区役所ごとで年に必ず一回は防災講演会をするようにしています。

講演会の内容としては、市の方では防災に関する著名人をお呼びして、話をしてもらうという形です。

講演会の方では、500人ほどの定員会場で、400人ほどの参加をしていただきました。

防災に関する講演会出典:広島市防災士養成講座について

津田:400人!すごい!そんなに集まるもんなんですね。広島市民は防災意識が高いんですかね。

石川:他と比較したことがないのでなんとも言えませんが、もしかしたらそうかもしれませんね。

町内会だけでなく、防災リーダーを育成したり講演会を開くことで市民全体の防災意識を高める

02. 西日本豪雨が起こった時の広島市の対応とは?

広島市の豪雨災害による被害状況

津田:西日本豪雨があったときの被害はどれほどのものでしたか?

今本:住居被害ですと半壊が358棟。床下浸水などを含めると2471棟で何かしらの被害がありました。

津田:かなり大きな被害ですね。

今本:そうですね。広島市は行政区が8つに分かれているんですが、市の中でも東側の地域に置いて被害が集中しました。

もしよければここに詳しい資料が乗っているので是非見てください。

http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1531615411940/index.html

津田:しっかりデータを取られているんですね。このデータは8月末に公表されたものですが…発災直後とかには被害状況を公表されたりはされたのですか?

石川:実際、建物の倒壊数などを数値で出せたのは資料の通り8月末ごろで、被害の全容は災害直後すぐにはわかりませんでした。被災証明の申請内容から少しずつわかってきて今のように情報を整理していった形になっています。

津田:被害状況の全容を掴むにはどうしても時間がかかってしまいますよね。ちなみに、当時被災者に対し情報共有はどの様に行われていましたか?

石川:メインはホームページで行なっていたんですが、当時はホームページを見られない方にも情報共有をできる様にという事で、広島市では、避難所に総合相談窓口を設けました。窓口にお問い合わせ頂ける方には、随時情報共有をさせて頂いていました。

津田:相談窓口を設けられてたんですね。インターネットを見れない状況の方や、見方がわからない方にはとても助かりますね。

災害の危険性が高まった時に立ち上がる災害対策本部の業務とは

津田:実際に災害があった時は、危機管理課全体が災害復興に関わるんですか?

石川:もちろん危機管理課は関わりますが、それだけではありません。災害の危険性が高まった場合は、災害対策本部が立ち上げられます。

その本部のもとで、危機管理課も他の課の職員も、平時の課を超えて災害対応を行います。

津田:危険性が高まった際は、他の課も一緒になって災害復興に取り組まれるんですね。役割分担等はあるんですか?

石川:はい、あらかじめ決めていて、7つの班に職員が振り分けられてそれぞれの業務を行います。

津田:差し支えなければ、詳しく教えてください。

石川:7つの班は、以下の通りです。

  • 情報班→関係機関に問い合わせて情報を集める
  • 広報班→マスコミへ問い合わせの対応、プレスリリースタイミングを決めるなどの対応。災害後にどのような情報をHPにあげるのかなども作成
  • 検討班→災害救助法や、自衛隊の救助要請を行うか等の判断
  • 監視班→モニターで気象情報を監視し、異常があれば本部内で共有する
  • 総務班→災害中や災害後に行われる本部員会議の資料などをまとめている
  • 各区担当班→区役所の各災害本部からの情報収拾と伝達事項
  • 各局担当班→局の各災害本部からの情報収拾と伝達事項

班の人員は事前に決められており、有事の際は全て網羅的なマニュアルにそって活動しています。

津田:マニュアルがしっかり準備されているんですね。役割等は、あらかじめシュミレーションされたりとかはあるんですか?

石川:もちろん年に1回災害毎にシュミレーションを行っています。どの職員がどの班で何をするかもあらかじめ決めています。

津田:素晴らしい対策ですね。
ちなみに、職員の方は被災者でもあり、市の職員として災害復興に対応しなければならない存在でもあると思うのですが、それこそ自分の家や家族が心配で…という方もいらっしゃるかと思います。そのような方と市の業務の折り合いはどうされているのですか?

石川:まず、災害時の主な職員の業務に関しまして、避難所への動員があります。

局の方で動員の人数は決まっておりますので、もし局内の職員にそのような問題があった場合は、局の中で配置の配慮をするというようなことはあると思います。

市の方全体では動員する人数は変えずに、配置する人間を局の方が変更しているといった形です。

津田:局の中で柔軟に助け合う形で対応されてるんですね。

・事前に役割を細かく決めておきシュミレーションも行なっておく事で、災害が起こった際上手く全体が機能する様になる。
・災害が起こった時は、課にとらわれずに市役所全体で役割分担をして対応に臨む

03. 過去から学び、次に繋げる広島市の取り組み

二人の社会人が議論

広島市の防災意識の変化と防災に対する取り組みの変化

津田:防災リーダーの育成をされていて、防災対策本部の役割分担のマニュアル化、そして定期的なシュミレーションまで…。広島市はかなり防災に力を入れているんですね。

石川:はい、仰る通りです。平成26年の8月に豪雨災害があってから広島市の防災意識が高まりました。実は私が所属している危機管理室も市長直轄のような今の形ではなく、消防局の方に危機管理部局がありました。

平成27年度以降に市長直下で危機管理室が作成されて、今のように活動しています。管理室全体の人数も、40人ほどと比較的多く配置されていると思います。

津田:過去の被災経験から意識が変わり、そして学び、対策を強化されたんですね。広島市の防災に対する取り組みや、今回の被災経験を元にした今後の対策等の情報は、他の市に共有されたりされるんでしょうか?

石川:この度は他の政令都市に対して資料を送ったり、他の市町村に資料の送付を検討しています。

津田:他の市町村への情報共有は行われるんですね!

災害時におこる予想できない問題への対応については、過去の災害事例を元にしっかり情報を蓄積し対策を行い、地域で蓄積した情報は、なるべく他の地域にも共有することが重要である 

津田:本日は、お話お聞かせ頂きありがとうございました。実際、役所どのような活動をしているのかイメージできなかったのでとてもいい勉強になりました。もっと多くの人にこういった情報を伝えていき、次の災害に備えれですね。お時間いただきありがとうございました。

石川:こちらこそ、ありがとうございました!

04. まとめ

  • 町内会だけでなく、防災リーダーを育成したり講演会を開くことで市民全体の防災意識を高める
  • 災害が起こった時は、課にとらわれずに市役所全体で役割分担をして対応に臨む
  • 災害時におこる予想できない問題への対応について、しっかり過去から学び情報を蓄積し共有することが大切

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