2020.01.23

人の代わりに働くドローンによる減災の取り組み|佐竹技研×阪大生

written by Yoshimoto Yutaka

~防災を学ぼう~大阪大学連載記事2本目!

今回は現役阪大生の4人が“防災を助ける技術”について取材してきました。
ご協力いただいたのは香川県で防災ドローンを手掛ける

「株式会社佐竹技研」代表取締役の佐竹洋輔さんです。

防災と技術について興味深いお話がお聞きできました。

(佐竹技研さんは高松市商店街の一角にある)

【インタビュー開始】

吉本「こんにちは。佐竹さん、本日はよろしくお願いします!」

佐竹「よろしくお願いします。」

吉本「佐竹さん、ご出身はどちらなんですか?」

佐竹「出身はここ(香川県)ですね。」

一同「へえ~」

(みんなでアイスブレイクの後は早速ドローンの話題へ)

佐竹「10年くらいはメーカーのほうで開発をしていまして、30過ぎてから地元に戻りたいと思いまして。ちょうどドローンが認知され始めた時期です。もともとモノづくりをしていましたし、学生時代からレスキューコンテストに出場したりしていました。」

吉本「そうだったんですか。レスコンはたしか今年19回目ですよね。」

佐竹「阪神淡路大震災の直後に防災意識が高まって始まったコンテストなので、そうですね。」

吉本「長いですよね。学生時代のレスコン出場経験が、現在の事業に繋がっているのでしょうか。事業についてもお話をお聞きしたいです。」

佐竹「学生時代の経験は現在のドローン開発に活きていますね。事業は主に工場や下水道などインフラの点検がメインです。危険なところはないか、壊れているところはないか、ということが、今までは時間をかけて人の目で確認していたのですが、ドローンによって短時間で正確にできるようになりました。」

吉本「そういう意味では、建物の倒壊など災害を事前に点検することで防ぐ、減災の意味合いが強い事業ですね。」

佐竹「減災…かっこよく言えばそうかもしれません(笑)」

【減災のための点検…ドローンの役割は】

大﨑「ラジコンヘリとドローンの違いって何なのでしょうか。」

佐竹「逆になんだと思いますか。」

瀬古「ホバリング(飛行しながら空中で静止すること)できることでしょうか。」

佐竹「そうですね。一つにはそれがあります。ラジコンヘリをきちんと操縦するには素人だと10時間ほどの練習が必要になります。ヘリのホバリングはかなり難しい。一方で、ドローンならコンピュータで制御できるのでプログラム次第ではボタン一つで好きな位置にホバリングさせることが出来ます。これは点検作業で大いに役立ちますね。」

吉本「一人でやるには、ラジコンヘリは敷居が高いのですね。」

佐竹「そうですね。飛ばすことすらできないと思います。(笑)」

佐竹「ドローンとラジコンヘリで他の違いといえば、写真を撮ることが出来るかどうかです。ラジコンヘリでは無理ですが、ドローンなら飛んでいる間の情報はすべてパソコンに飛んでくるんですね。なのでお客さんが見たいところをリアルタイムで点検することが出来る。今はそのくらい点検が簡単になっているんです。」

吉本「ドローンはコンピュータと通信する事でヘリにはできない多くのことを可能にしたんですね。その一つが、減災につながる短時間で効率的な点検作業だったと。機械なので人がけがをするリスクがないのもメリットですよね。」

佐竹「そういうことですね。」

【稼働時間について】

妻鹿「ドローンは稼働時間はどうなのでしょうか。点検するにも、頻繁にバッテリー交換や充電が必要だったら作業にならないですよね。」

佐竹「飛行時間はネックですね。ドローンが発売されてから久しいですが、最新の機体でも30~40分くらいの飛行が限界です。バッテリーを大容量にしなければならない、しかし飛ばすにはできる限り機体が軽い必要がある。ところがまたコストも安くなるように意識しなければならない。ここのバランスが難しいんです。」

瀬古「めちゃくちゃ変数が多くて難しいですね(笑)」

(意外とバッテリーは軽かった。。。)

【こんなところでもドローンが大活躍!中国深センではドローンの祭典!】

吉本「前にテレビか何かで見たことがあるのですが、中国の深センでもドローンが活躍していますよね。ショーイベントみたいな。」

佐竹「あー、そうですね。ドローンフェスのような感じで、LED電球をつけたドローンをたくさん飛ばしてきれいなナイトショーを見ることが出来ます。ドローンはそもそも深センが発祥の地なんですよ。DJIというドローンの会社があって、世界シェアが9割くらいです。私もドローンは沢山購入してきましたが市販されているものでDJI以外のものは見たことがありません(笑)」

吉本「そんなになんですね!DJI凄い…防災だけではなく、エンターテインメントの世界でもドローンは活用されてきているのですね。」

参考:Southwest China Puts on Dazzling Drone Show

【防災とドローンの今後】

吉本「防災に関してはどのようなドローン活用を期待されてますでしょうか。」

佐竹「ドローンを防災にもっと活用していくうえで一番の障害は行政の規制なんです。たった1機飛ばすだけでも、だれが飛ばすのか、どこで飛ばすのかが現在は非常に厳しい。場所によっては勝手に飛ばすと犯罪です。民間で点検などのために飛ばしたいとき、すぐに飛ばせないのはなかなか歯がゆいです。」

妻鹿「許可をその都度取らなければいけないってことですよね。」

佐竹「そうです。しかし何といっても行政は忙しい(笑)民間業者がドローンを飛ばすことで申請してもなかなか相手にしてもらえなかったり、後回しになることも多いです。向こうも大変なのでしょうね。」

妻鹿「規制が、ドローンの防災活用の大きな壁となっているのですね。」

佐竹「なので現在、うちは組合のほうで県と防災協定を結ぼうとしています。ドローン防災協定と調べれば他県でもたくさん出てくると思います。防災協定というのも、ドローンを飛ばすとなれば役所にクレームが来ることがあるんですね。防災協定を結んでおけば、それもきちんと対処してもらえる。また県の防災訓練などにドローンが取り入れられたりなど、ドローン活用のすそ野を広げるのにも役立ちます。」

吉本「地道に、しかし着実に市場を開拓されているのですね。」

(ドローンを見ながらインタビューしてます。)

大﨑「防災へのドローンの活用は、実際にはどのようなものが行われているのでしょうか。」

佐竹「実際の使用例はまだ少ないですね。想定では、台風の後の土石流だとかを調査したり、などです。あとは防災ではないですが、知り合いに山を持っている方が居まして、台風通過後ドローンで被害状況を調査したんですね。すると、普段はいかない場所が大きく土砂崩れを起こしていたことが分かった。すぐに行政に連絡、対応してもらいました。被害を迅速に県に報告することが出来た例ですね。いまは災害後の被害調査が主流です。」

大﨑「災害の事前の対策、となると難しいのでしょうか。」

佐竹「徳島県の防災訓練では毎回ドローンを飛ばしていますね。一番進んでいるのが徳島県です。香川県は災害が少ないので(笑)」

大﨑「防災訓練とは具体的にはどんなものなのですか。」

佐竹「上から情報をとる訓練ですね。高いドローンでは赤外線カメラもついています。これによって災害時に上空から人の体温が分かるので、人命救助に役に立ちます。そのような要救護者発見の訓練などでもドローンが活躍しているそうです。」

大﨑「まだまだ使用例が少ない中、技術の防災への活用方法がどんどん考案されているのですね。」

佐竹「はい。今後はドローンの活用が自治体などを通してもっと活発になってくると考えています。」

一同「防災とドローンについて、素敵なお話をありがとうございました!」

【まとめ】

佐竹さんのご協力により、ドローン技術によって災害に立ち向かう姿勢、

防災に最先端のテクノロジーが活かされつつあることが学べました。

技術者として地方でドローン開発、そして点検を通した減災活動に取り組まれる姿勢は、我々も学ぶべきところが多くあります。
学生時代のご経験が現在の仕事に結びついた、というところも我々にとっては意識的にならなければならないポイントです。

学生時代により多くの経験をすることによって、その中の何かが将来の事業に繋がるかもしれないということ。
学生として残りの期間を過ごすモチベーションも上がりました。

ドローンをはじめ、新しい技術には規制がつきものです。

新しい概念は、なかなか理解されなかったりそもそも注目されなかったり。

しかし便利なものは必ず役に立ちます。
一つ一つの壁を地道な努力で乗り越えていくことで、新しい技術が次第に世の中に受け入れられ、より便利で安全なものになっていく。

技術とそれを安全に運用するための規制、それを防災へと活かそうとする動きが地方から起こっている。

イノベーションは情熱のある地道な努力からこそ生まれるものなのだと改めて考えさせられました。

佐竹さん、ありがとうございました!!

【おまけ】

ドローンの操縦もさせていただきました。

 

(活き活きしてる佐竹さん。)